大仙公園日本庭園
大仙公園日本庭園は堺市の大仙公園内にあり、大仙公園の平和塔を借景とする(借景とは何かという問題はここでは厳密に考えないことにする)。よく知られた「池と平屋建物の向こうに塔が見える」風景は、設計時に意図されたものでそう見えるように築山・あずまや(視点となる場所)を配置したものだと思う。
【概形・配置】
細長い庭園で、北東側に池があり、南西から北東に流れ込む小川がある。
入口は園の北東部にあり、入るとすぐに主屋(大きめの休憩所)がある。この主屋は催し物の会場でもあるので、イベントだけのために庭に来た人には入口近くにあるのが便利である(運営側にとっても、資材の搬入等が便利)。主屋はまた、池がいきなり見えないよう隠す格好になっている。中央休憩所が池を隠す(エントランスと池の間にある)配置は万博記念公園日本庭園でも見た。
主屋に入ると池がよく見える。池の向こうの正面には大きな築山(「廬山」)が見える。右寄りには青い屋根の中国風の建物が、左寄りには頂上にあずまやの建った築山がある。
さらに左の方を見ると、池に流れ込む小川がある。川沿いに路がある。
川を遡るように進むと、一番奥には四角い広場があり中国風の建物がある。
【路】
不特定多数が利用する庭園なので路は歩きやすさ重視で平らな舗装の所が多い。路は大体が池と川に沿っている。橋や飛石で川を渡れるところが少しと、最小限の分岐があり、単調にならないようにしている。基本的には平らな路なのだが、登れる築山が1つある。登らないルートもある。
【水景】
既に書いたように、池と川が両方ある。ただし私が行ったときは川に水が流れていなかった。傾斜が急な上流のほうでは涸れ川に、池に近い低いところでは 池の一部のようになっていた。元の設計に流水があっても、節約などのために水が止められることはよくある。いっそ、最初から水が無いことを前提に造った方がよいのかもしれない。
「廬山」の麓に小さな滝があり、こちらは水が流れていた。
東屋、主屋、平和塔が一直線上にある。
展望台になっている築山(写真撮影地点)、休憩所(平屋建物)園外の塔(大仙公園の平和塔)が一直線になるように設計されている。
小石川後楽園の廬山を連想させる
グラウンドカバーはササ。知らない誰かが「この葉綺麗!」はしゃいでいたのが印象的。奥に見えるあずまやはカバー写真の撮影地点
池に注ぐ小川があり、小川に沿って園路がある。路はコンクリ―舗装のところが多く、ほぼ平ら。
橋や沢飛石も少しはあり、小川沿いに歩くだけでなく川を渡ることもできる。
橋のデザインは1つ1つ明確に違う。
門の向こうに主屋が見えている。
大仙公園日本庭園の私的まとめ
・庭園外の平和塔を風景に取り入れ、塔との位置関係を考慮して配置を決めている
・入口を入ってすぐ、池を隠すような形で主屋がある(主屋の向こうに、池が少し見える)
・北東側では池を中心とした開けた景観、南西側では小川の周りに木が多い渓流風の景観がある。