変化
池泉回遊式庭園については「池を巡りながら移り変わる景観を楽しむ」と解説されることも多いので、景観の移り変わりについて少しだけ書いてみようと思います。
[視界の開閉の変化]
視界が開けているか閉じているかは特に印象的で大きな変化であり、庭について予備知識が無くても感じることができる。視界は開閉の二種類だけではなく、「左側だけ視界が開けている」「一部透けている」などのバリエーションがある。
[空間の開閉の変化]
「視界の開閉」とも重なるのだが、視界の開閉が「見える・見えない」の変化なのに対して「広い・狭い」の変化。
[目を惹く要素(建物など)の見え隠れ]
目を惹く要素とは例えば建物や滝など。それが見えたり隠れたりするということは風景の骨格が変わる大きな変化になる。
[路の左右に何があるかの変化]
視界が遮られる点では同じでも、竹垣と塀と木立では印象が違う。つまり、路のそばにあるのが何かということも重要。同じように、路の横が芝生で視界が広いのと、路の横が池(水面)で視界が広いのとでは印象が違う。
[重なり方の変化]
視点が移動することで、手前にある物と奥にある物との重なり方が変化する。
[主に見えるものの変化]
視野の中で大きな面積を占めるものは何か?木立か、水か、あるいは芝か。
[路自体の変化]
屈曲、分岐、路面、上り下り、道幅などが変化する
[植生の変化]
高木か低木か?針葉樹か広葉樹か?常緑樹か落葉樹か?
[景物]
景物とは庭の飾りとなる人工物 (灯篭など) をいう。ルート上のところどころに配置されて変化をつける。
[視線の向き]
何かで視線を誘導した場合や、単に路が曲がるので向きを変えた場合、視線の向きが変わるので見える風景も変化する。
手前は広場状に広がった路(土と砂利)、奥は普通の幅の路(石敷き)
平らな小石敷きの路(手前)から、路は上りになり、石段になり、木立の間に入る。桂離宮庭園。
路は単に曲がるだけでなく、右曲がりと左曲がりで変化している。また築山の間に入って視界が狭くなる。
歩くうちに次々と景物が現れることで単調さを破り楽しく歩くことができる。
例えば灯籠がいくつもあるのなら、デザインに変化をつけるという手法もある。