路面
【土・砂利の路】
土の路は最も単純で古くからある路です。「路自体の存在感は弱いが、それゆえに周囲の地形・植栽を強調することになり、路と周囲をあわせてさりげない自然な雰囲気を出す」とのことです。幅2mくらいまでの路に使われることが多いようです。
土の路には小さからぬ欠点もあります。雨が降るとぬかるみ、足元が汚れたり滑ったりしますし、土も流出します。
砂利の道はぬかるまないという点で土の路より優れています。ただし、車椅子、カートなどの車輪が沈んで通行しにくいという別の問題が生じます。この問題を改善するため砂利をごく薄くすることがあります。
【延段】
延段も路の一部です。ぬかるみや土の流出を防ぐ実用的意味もありますし、1つの庭の中に土・砂利の路と延段があればそこに変化がつきます。
庭で使う延段は、自然石や不整形な石を使ったものが多いようです。カジュアルな雰囲気を出すためや、そこが山であるという見立てを損なわないためでしょう。(写真S-1~S-3)かっちりした切石の延段は庭園では比較的少なく、使用場所も建物の前とほぼ決まっています。(S-4)
桂離宮の御幸道は、あまり大きくない石を敷き詰め、しかも石はすべて平らな面を上にしているという凝ったものです(S-5)
【飛石】
飛石も歩く場所という意味では路面です。
飛石の部分では自然と下を見ることになるので、よく見せたい場所に使います。
ただし、飛石の路が長く続くとストレスになります。桂離宮のように園路のメインを飛石にするのはかなり趣味的で極端なものだとおもいます。
(S-6~S-10)
由志園
松皮をモチーフにした延段。好古園
小石川後楽園
桂離宮の「真の飛石」。書院の玄関前にある。
桂離宮 御幸道
切石の飛び石
小さい飛石 桂離宮 注意深く歩く必要がある。
砂利敷きのなかの飛び石 栗林公園
上面に模様を刻んだ飛石 万象園
創作飛石 朱雀の庭 正方形の飛び石で、高さを変えてある。
【橋】
橋も路の一部で、路の中の特異な場所として目を惹くことが多いです(写真B-1~B-4)。ただし、橋のデザインによっては路に溶け込んで目立ちません(B-5、B-6)。
通常は両側が水面で視界の広い路になるので(B-7)、見る場所・見られる場所としても重要になります。前方視界もよいことが多いですが、反りの強い橋では前方視界が制限されます(B-8)。
欄干の無い狭い橋は、渡るのにやや緊張感があります(B-9)。
広い回遊式庭園では橋の数も多くなる傾向にありますが、その際、橋の形を大きく変え、一つ一つの橋に個性を持たせる例があります(B-5とB-10、B-7とB-8など)。一方、数が多くてもすべてオーソドックスな橋にして、装飾やプロポーションだけを変える例もあります。例えば玄宮園には9つの橋がありますが、反りのゆるい木橋(B-3)と土橋に統一されています。
飛び石→土橋の変化 桂離宮
奇岩の石橋 童心に帰って岩場で遊ぶような気持ちで渡ったのだろうか。徳島城表御殿庭園
木橋の路面。玄宮園
石橋の上面
橋の存在が目立たず、道が続いている感じがある。岡山後楽園
土橋を渡る。衆楽園
縮景園の三連の橋
縮景園の跨虹橋
桂離宮の細い橋
くの字橋。後楽園