栗林公園
【全般的特徴】
・平地に多くの築山で起伏をつけている
・池も6つあり、水系が複雑。小沢圭次郎はこの水景の複雑さを高く評価している
・見え隠れの大きな変化
築山で視界をコントロールするなどして大きな変化をつけている。
・路面・植栽などによる各種の変化
見え隠れ以外にも場所によって路面や木の種類を変えること、路の曲がる様子や分岐など、様々な手段を併用して変化をつけている。
・紫雲山という軸
紫雲山を正面に見るような視点が設定されている。
【南庭のゾーニング】
・ものが多く華麗な南湖周辺、
・仕立て松に特化した感のある北湖周辺
・野趣のある西湖周辺、
・鍛錬のための講武シャ・馬場
【北湖周辺】
・直線園路
・早くから見せすぎない工夫
路を折り曲げる、築山で隠すなどの方法で、見える範囲を制限している
【西湖周辺】
・自然物(山、岩壁)の利用
【南湖周辺】
・見え隠れの大きな変化をもたらす築山
路が築山の裏(池から遠い側)を通り路から池が全く見えなくなる場所がある。
・南湖周辺の軸
掬月亭から東を見る月見の軸や、池が奥行き深く見える池の長軸などの軸がある
【北庭のゾーニング】
イベントや展示の中心となる「商工奨励館周辺」、自然風な林の「群鴨池、芙蓉沼周辺」、運動・ピクニックの場となる「芝生広場」などにゾーニングされている。
【北庭の路】
北庭の路は公園として、歩きやすさを考慮して造られている。特に、北門から芙蓉沼の横を通って商工奨励館につながるS字状の路は平らなうえに広く、自分のペースでぶらぶら歩くのに適する。
栗林公園の私的まとめ
・築山で池を隠すなどして、見え隠れの変化が大きい
・池が6つもあり互いに水路でつながるなど、複雑な平面構成
・路の風景や路に関する技法が多彩
・築山群や大きな築山があり、築山にも力を入れている。
正面に紫雲山を見る視点場や路がいくつもある
直線の路の正面に紫雲山が見える。 なお、左に北湖があるが築山のため見えない
道が長い直線ではなく食い違い、クランク状になっている。
直線の路だが、長い直線ではなくクランク状になっている
視点(飛来峰)から南湖を見たときに、その向こう正面に紫雲山が見える。また。池を長軸方向から見るので奥行きが感じられる。
ABCDは路と池の間にある築山。EFは水平距離は近いが地形のためEからFは見えない。線は『栗林荘記』に書かれたルート。
南湖 (左) と路の間に築山があることがわかる(人が建っているあたりの向こう)。Aの築山を西から撮影。
北庭は明治になってから一般公開前提で整備された。そのため歩きやすさ優先の路が造られている。