建築物
庭と建物の関係を見ると、普通は建物に庭が付属するのですが、大きな庭園の場合に庭の付属物として建物を作ることがあります。
【なぜ建物を造るのか】
回遊式庭園に建物を作ると
・休憩や雨宿りができる
・飲食、会合、イベントの場所になる[重要]
・建物内から庭を見ることができる
・建物も景色の一部になる
【庭の景観と建築】
庭園には茶室、茶屋、あずまやなど様々な建物があり、実用的なものであると同時に庭園のアクセントでもあります。周囲が池や森であるところに建物が見えると、視野の中では小さいものであっても目を惹くものです。一部の回遊式庭園では、目を惹く建物が見え隠れすることで変化を強く感じることもあります。
【形態観察】
平屋の日本建築では屋根の印象によって建物の印象がある程度決まってしまいます。屋根の材料は何か(瓦、こけら、茅)、屋根の角度はゆるいか急か、屋根の造り(切妻、寄棟、入母屋)はどれかなどに気を付けてみるとよいかもしれません。棟がいくつもある建物の場合、その向きと高さががそろっているのか変えてあるのかでも印象が変わります。
【建物各種】
茶室(茶亭): 茶事のための建物。普通は小さい。回遊式庭園内に建つ茶室は開口部が大きく庭が見えるようになっていることが多い。
茶屋: 食事もできる休憩所のようなもの。お茶を飲むとは限りません。
大茶屋または主屋: 茶屋のうち大きなもの
あずまや: 壁のない簡単な建物
祠堂: 寺院庭園はもちろん、宮家や大名の庭園にも園内にお堂があります。
【位置と向き】
主要建物は池に面している場合と池から離れている場合があり、
池に面している場合、池の長辺にある場合と短辺にある場合がある。
池の西畔にある東向きの建物は月見によい
池の南にある建物からは池や対岸を順光で見ることができる
回遊式庭園でも止まって見るべき視点があり、普通は主屋がその視点。
一階の池側は開口部が大きく、ここから庭を見たのだろう。現在金閣から庭を見ることはできない
一階は住宅風で、庭に向かって大きな開口部がある。二階はお堂。
深い軒の下には炉があり炊事ができる。室内には食事の保温設備(とされる戸棚)もある。
外周のほとんどが低い縁側であり、視覚的にも機能的にも庭との一体感が強い。また江戸時代には厨房が付属していた。
茶亭
急傾斜の入母屋造? にしては破風部分が非常に小さい。
後楽園の主屋。茅葺き屋根の田舎風 数寄屋風建築。大きさや高さの違う入母屋屋根の組み合わせ。
茅葺きのあずまや。屋根にむくりがある。小石川後楽園
舟をかたどたったあずまや。兼六園