日本庭園の中の直線の路
【行ってみれば直線の道は案外多かった】
「日本庭園に直線はない」と書いてある本や記事があった気がしますが、実際行ってみれば案外直線は多いものです。それも別に隠しもせず、よく目立つところに直線が使われていることもあります。
直線の路が使われている場所は庭の浅い(入口から近い)部分であるか、主屋へ続くルートであることが多い印象です。ただし岡山後楽園のように、門も建物も関係ない例もありました。
【直線である意味は何だろう】
路を直線にする意味は何だろう、と考えてみます。
まず考えつくのはシンプルで合理的だということです。2つの場所を最短で結ぶのは直線ですし、技術的にも簡単です。
次に考えられるのは、奥に誘うような風景ができるということです。まっすぐな路の両側を立木などで囲うと、路の行く先に視線と意識が向くような風景になります。
【短くても長くてもよくないらしい】
直線の道が直線らしく見えるために長さ20mくらいは必要だと思います。その一方で直線部分が長いと単調になってしまいます。平面図を見た限りでは50mまでが多いようです。それを超えると直線の路を少し曲げたりずらしたりしてあまり遠くまで見通せないようにしていると思います。
桂離宮の園路には50m程度の直線部分が複数あり、折れ線やT字路という形でつながっている。どれも門からつながる部分、庭の浅い部分。
書院群に向かって直線の路が続いている。さらに、かつてはAの位置に橋があったので、松琴亭へ直行する直線的な路もあったことになる。
比較的入口(東門)に近い部分にある
栗林公園では掬月亭の近くまで、直線の路が続いている。回遊式庭園とは必ず回遊するものでもなく、主な建物に直接行って飲食したりもする。
門から主屋へ向かう部分。幅が広く、広場のようでもある。やや先細になって距離を遠くに見せている気もする。
平面図で見る。門を入ると直線の路があって正面が清風館。格式の高い感じを出したかったのかも。
門から続く路でもなく建物に向かう路でもない。芝生を大胆に横切る路。
栗林公園の古図より