岡山後楽園
【概要】
広い芝生がウリのやや異色な日本庭園。「わたしの思ってた日本庭園と違う」という感じの不評を受けることもしばしば。一方重森三玲(1896-1975)などは「創作的」と評価しています。
「本園は岡山という明朗な地方色の上に作庭されただけに、どことなく明朗性が強く、しかも元禄という繁栄期を背景として作庭されただけに、一層明朗性が強く構成されている。そしてその明朗性はどことなく近代的新感覚につながり、古典的、伝統的、定型的な作庭とはならず、自由な立場での新鮮さが加わり、創作性が強く表現されているところに、本園の面目がある」
(『日本庭園史大系』 より)
【全般的特徴】
・広い芝生があり見通しが良い
・長い曲水がある
・庭の周辺部は土手状に高くなっていて木が多い。
・池や路の線形は全体的にカーブが緩い。また、路や曲水の一部に、直線と直線の間を曲線でつないだような形が見られる。
・路には直線部分も多いのだが、桂離宮などとは違って、門にも建物にも関係ない直線が多いのが面白い。
【後楽園の軸】
視点である延養亭から借景の操山を見る軸、同じく借景の多宝塔を見る軸、などがある。
【後楽園のゾーニング】
大まかに言えば庭の中央部は明るく見通しの良いゾーン、外周部は木の多いゾーンとなっている。細かく言えば、「延養亭、鶴鳴館と小庭園」「花葉の池」「芝生と沢の池」「唯心山」「花交の池と木曽谷」などと分けることができる
長く広い曲水がある。
ヘリの部分にある木の多い場所
延養亭(主屋)近くの花葉の池には滝石組があり水が流れ落ちる。平らな印象が強い後楽園だがよく見れば様々な表情がある。
二段の滝(写真左上と右下)の間に沢飛石がある面白い園路。残念ながら通行できない
唯心山からの眺望。路の模様がよくわかる。茶畑の部分は傾斜している(写真奥が上がっている)。
道が向かう方向に岡山城天守
道が向かう方向に岡山城天守