Linus
感想:益習館庭園は石が先
更新日:2023年8月2日
淡路島北部の洲本にある益習館庭園は異色の庭園だ。
庭園を造る際にはたいてい「ここが池」「ここは山」「ここは路」と先に決め、池のへりや山のすそ、山腹などに石を据えるものだろうと思う。ところが益習館庭園の場合、大石の転がっている土地が先にあって、それに合わせて庭を造ったように見える。
大石が先にあったように見える理由は、石と園路との関係だ。
益習館庭園の西部は少し山にかかっているが、そのあたりの園路は石の上を越えて行ったり、大石の間をすり抜けて行ったりする。これは他所の庭園にはあまりない特徴でこの庭園の個性なのだが、そのために石が先にあったように感じられる。
実際、石が先にあったのだろう。洲本市の公式サイトや淡路文化資料館などによれば、この場所は江戸時代初期に洲本の城下町を建設する際の石切場だった。城下町建設が終わり石切り場としての役目を終えた後、徳島藩筆頭家老稲田氏の別邸「西荘」として庭園が整備され、さらに後に稲田氏の私塾が移転してきて「益習館」の名がついたようだ。
益習館庭園の園路は面白い。歩ける範囲は狭く路の分岐も少ないがこの「先に大石があったところに後から道をつけた」感じだけでも十分面白く、何度も思い出される庭だ。
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