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「紅葉谷川庭園砂防施設」砂防施設が庭園とはどういうことか

更新日:2023年9月17日

「おにわさん」でこの庭園のことを知ったときは衝撃だった。庭園で砂防施設とはどういうことか?しかもよく考えてみると私はここに行ったことがあり、その時は砂防施設とも庭園とも思わなかった。


【紅葉谷川庭園砂防施設について】

宮島に行ったことのある人は思い出してほしいのだが、厳島神社のすぐ近くに谷川があったと思う。朱塗りの橋があり周辺にはカエデなどが植えられていただろう。そこが紅葉谷川だ。

1945年9月(終戦直後)の枕崎台風による土石流で、紅葉谷川周辺は大きな被害を受けた。その復旧と砂防工事に際しては厳島が史跡・名勝だということを考慮し、コンクリートを露出させないこと、野面石を使うこと、庭師を参加させることなどが決められた。工事は1948年に着工、1950年に竣工。事業の過程でこの事業のために「庭園砂防」という言葉が造られた。砂防工事に庭園の技術と美的感覚を取り入れる手法のことを言う。


私がここを訪れたとき、砂防事業で整備された場所とは気づかなかったが、それは景観が調和し違和感がなかったからだ。この事業は景観に配慮した土木工事の先駆的な例だとされ、その施設は2020年、戦後につくられた土木施設としては初めて重要文化財に指定された。


【個人的ポイント】

この「庭園」を初めて知った時は、庭園と砂防施設という組み合わせが意外だった。なぜ意外だったかを考えてみると、芸術としての庭園、庭園のための庭園という考えに知らず知らず慣れていたからだろう。

だが一方で、庭園を造ることは土木の一分野であり、問題解決という一面もある。この「庭園」で言えば、普通に砂防工事をすると景観を破壊するのが問題で、造園の技術と庭師の感覚を取り入れるのが解決だった。

紅葉谷川庭園砂防施設は土木と美が交わるところであり、それゆえに面白い。


【どんな人におすすめ?】

・庭園について視野を広げたい人

・解説、紹介記事を書く人

・土木か庭園、どちらかにたずさわる人


【基本情報】

施設の性格: 川の砂防施設

庭の性格: 景観に配慮した土木工事

作庭年代: 現代

アクセス:

JR宮島口駅-(徒歩10分)->宮島口桟橋-(船で10分)->宮島桟橋-(徒歩20分)->紅葉谷公園

公開状況:自由観覧

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