プラザ佐治:渋ビルと佐治川石と中根金作
更新日:2023年10月19日
現在は採掘が禁止されていますが、佐治川石という名石があります。その産地であった鳥取県佐治町(旧佐治村)に佐治川石をふんだんに使い、中根金作が作庭した庭があるというので行ってきました。
まずはプラザ佐治について説明します。そもそも最初はプラザ佐治を知って、調べているうちに黎明の庭を見つけたので。
【プラザ佐治について】
北陸ほどではありませんが鳥取県も県全体が豪雪地帯で、山の中にある旧佐治村も、冬になると雪に閉ざされる山村です。高度成長期にもその恩恵をあまり受けずむしろ人口流出が進んだため、開発を推進するという理由でこのセンターが造られました(1971年竣工)。
その建物は「渋ビル」として紹介され、一部で熱心なファンがいます。2023年に「DOCOMOMO JAPAN選定 日本におけるモダン・ムーブメントの建築」に追加選定されました。
設計者の安田臣(やすだ かたし)は大分県庁舎や島根県庁舎の設計で知られています。
【黎明の庭について】
黎明の庭は中根金作設計の石庭で、佐治村役場(現・鳥取市佐治町総合庁舎)と豪雪山村開発総合センターの間にあります。くの字型の建物がお腹合わせに2つあり、その間のひし形の空間が庭になっている感じです。
道路側から順にみるとまず佐治町の庁舎があり、庁舎内の短い通路を抜けると黎明の庭にでて、庭を通って奥にプラザ佐治があり、そしてその背後には中国山地の山が見えます。庁舎の裏あたりから黎明の庭越しにプラザ佐治を見ると、山を背景にした建物が非常に恰好いいです(冒頭の写真)。
銘板によればこの庭は佐治川石の保存と展示を意図したもの。
その佐治川石は日本三大名石(諸説あり)に挙げられることもある石で、全体が青黒い中に鮮やかな緑が混じっている石です。無鄰菴庭園や足立美術館庭園にも使われているので行ったときには探してみてください。
乱採石が問題になり、1965年に鳥取県の条例により佐治川本流(佐治町総合支所前の川)流域での採取は全面的に禁止されました。
その後1991年に、村制施行80周年の記念事業として造られたのが黎明の庭です。展示のために佐治川石をふんだんに使っています。石は全体的に青黒く、ざらつき感と凸凹感があり、上の方を中心に苔むして緑になっているのが、青黒い石との取り合わせで美しかったです。
この庭は枯山水で、雪の下には白砂と砂紋があるはずです。それが見えないのは庭の紹介としてどうかとも思ったのですが、今回あえて雪の日に行ったのは、それが「豪雪山村開発総合センター」にふさわしい気がしたからです。
【どんな人におすすめ?】
・中根金作ファン
・佐治石が好きな人
・プラザ佐治の建物に惹かれた人
【基本情報】
施設の性格: 庁舎
庭の性格: 中庭。奥の建物への通路を兼ねる
作庭年代:現代(1992年)
作庭家:中根金作
アクセス:
・鉄道とバス利用
JR用瀬(もちのせ)駅からバス(佐治線)で約20分
または
JR智頭駅からバスを乗り継いで約1時間
(用瀬駅は)
・自家用車利用
12月後半ごろからは積雪・凍結に注意
・タクシー利用
おすすめしない。近くにタクシー会社が無く、駅前にタクシーが常駐していない。Uberでの配車もできなかった。
公開状況:自由観覧
(2022年12月訪問。情報は訪問時のものです)
【外部サイト】
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