旧益習館庭園は巨石の異空間
更新日:11月11日
【前説】
石がすごい庭園というのはいくつもありますが、その中でも益習館庭園は独自の雰囲気があります。
庭石の高さが最大4mを超える巨石の庭園で2019年に淡路島の庭園としては初めて名勝に指定されました、。
【旧益習館について】
旧益習館(えきしゅうかん)は淡路島の洲本市、曲田山の山麓にある江戸時代の武家屋敷、学問所です。
益習館のある場所は古くは石切り場だったようです。そこに徳島藩の筆頭家老稲田氏の別荘「西荘」が造られ、この別荘は1854年(嘉永7年)、稲田氏の私塾学問所「益習館」となりました。
1870年には蜂須賀家の御家騒動「稲田騒動」の舞台となりました。このとき建物は焼失しましたが庭は残っています。
【益習館庭園について】
・地形と路
建物の西(裏)に狭い陸地があり、その西に細長い池があり、岸には巨石があります。
池の西は自然の山(曲田山)になっています。この山が石切り場の跡なので、山が一部えぐれた格好です。
山には建物を見下ろすくらいまで登ることができます。
山に入ると周囲には巨石が投げ出されたように転がり、巨石の間を抜ける飛石の路や石を超える石段の路があります。
この感じは普通の庭にはない益習館庭園の特徴です。
・考察
益習館庭園の特徴的な感じがどこからくるのか、と考えていたのですが、どうも「石が先にあった」ことが原因なのではないかと思います。たいていのケースでは庭を造ることにしてから庭石を搬入、設置するのですが、益習館庭園は石切り場跡なので最初から大石が転がっていたでしょう。先に大石があるところに庭を造ったために、路が大石の間をすり抜けたり、大石を越えて行ったりする格好になっているということです。石自体も放り出したような趣があり、深く据える教科書的石組とも、展示物のような仙石庭園の石とも違う独自路線となっています。
【基本情報】
施設の性格:武家屋敷、江戸時代の私塾
作庭年代:江戸時代
アクセス:
洲本ICから車で15分
*専用駐車場は無いので
洲本バスセンターから徒歩15分 (900m)
公開状況:公開 (無料)
【外部サイト】
(2020年1月訪問。情報は訪問時のものです)
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