蓮華寺庭園
更新日:2023年6月20日
[「お寺の庭は外の仏壇である」]
京都市左京区の蓮華寺(れんげじ)は江戸初期に再興された天台宗の寺院。庭園は重森三玲著『日本庭園史大系』(1978)にも記載されていて、ごく一部では以前から知られていた存在。ツーリズムの世界では紅葉の美しい穴場庭園として紹介されていたが、最近は穴場でもないらしい。我々ツアー客に法話をされた副住職は、「信仰の場であることを尊重してほしい」と苦言を呈されていた。
その法話の中で、「お寺の庭とは」という話があったので紹介したい。
まず前提として、「悟り」というのはよくわからないものだという。わかっているのはお釈迦様が「悟った」ということくらいだ。
副住職は語る。この世に苦しみがなくならないことについて、苦しみとの付き合い方について、お釈迦様が考えに考えた末、ある時迷いがなくなったとされている。お坊さんはその境地に「悟り」と仮の名前を付けて、それがどのような境地なのか知りたいと思っている。
副住職のお話は続く。お釈迦様が何を考えたのか探るための方便・手段として、お釈迦様をまねて自分たちも座って瞑想しようという方向性がある。つまり座禅である。お釈迦様は山の中で修行したということなので僧も山で修行する。ただし本当の深山で修行するのは(生活上や檀家との付き合い上)無理があるので、庭に木を植え石を配して山とみなす。
したがってお寺の庭というのは宗教行為の空間なのだ、というのが副住職のお話だった。
私も庭だけ見に来て済まない、と思った。もう一つ思ったのが、お寺の庭の特殊さだ。お寺の庭は宗教行為の場であることもある(副住職は「外の仏壇」という言い方をされた)。だが住宅や別荘や美術館の庭は宗教行為の場ではない。お寺の庭と同じものを、他所の庭に求めてはいけないのである。
トイレ使用不可
【アクセス】
京都バス「上橋」から徒歩1分、叡山電車三宅八幡駅から徒歩10分
【外部サイト】
洛北蓮華寺-京都洛北・森と水の会 (蓮華寺含む洛北の寺社による会)
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