都会の庭:GINZA SIX rooftop garden
更新日:1月12日
【はじめに】
庭園に求められるのは憩いの雰囲気ばかりではありません。施設の性格やブランディングを考慮したのか、かなり硬質な庭が造られることもあります。今回は銀座のスタイリッシュな屋上庭園「GINZA SIX rooftop garden」を紹介しましょう。
【GINZA SIXとは】
2017年に完成したGINZA SIXは、ハイブランドを中心とした複合商業施設。およそ110m×70mという大型のビルディングです。このスケールは、銀座六丁目10番と11番という2つの街区を再開発で1つのビルにすることで実現しました。
【GINZA SIX 屋上庭園の概要】
本チャプターではGINZA SIX屋上庭園を見ていきます。
GINZA SIX屋上庭園の構成要素は以下の通りです。
-芝生広場と水盤の広場 (屋上西側中部)
-木立エリア (屋上西側南北)
-外周を巡る回廊(東、南、北)
-一階分下がった小広場 (13階)
-壁面緑化 (各所)
このうち西側中部の広場は「西洋の広場文化を継承する」もの、南北の木立は「江戸の庭園文化を継承する」ものだと設計者は述べています。
広場は芝生広場と水盤の広場が、同じ寸法で一対のものとして造られています(同形状であることに注目してシンメトリー構図で撮ってみました)。水盤の水の厚さはわずか5m。常に水が流れ、地面のわずかな凹凸によって水面のきらめきに表情が生まれます。この水盤は入ってもよい場所なので、来訪者が水に触れることもでき、水を抜けば通常の広場としてイベントに使うこともできます。

広場周辺や木立の中にはベンチがあり、筆者の訪問時にもベンチを利用している訪問者がいました。
外周を巡る回廊も、設計者が語る特徴の1つ。ビルが2つの街区にまたがって建設されたことで外周も長くなりましたが、この部分がウッドデッキの回廊になっています。

広場や回廊から階段で降りた先には四方を囲まれた小さな広場があります。1つの方向は店舗のガラス、2面は壁面緑化になっています。植栽の根元は土留めを兼ねた土留めになっています。囲われた小空間のため落ち着けるスペースで、しばらくとどまる人もいるようです。
筆者が訪問した際には、壁面緑化をバックにして写真を撮りながら長居する2人組が見られました。

その壁面緑化の様子がこちら。高さのある壁面緑化で、金属の棚にプランターを置いたように見えます。この手法は設置や管理が比較的簡単で、使える植物の種類も多いというメリットがあるようです。
GINZA SIXでも多様な植物を混ぜ植えにして変化をつけています。

金属枠が水平に並んでいるので静的な印象があり、そこに階段が変化をつけています。
また金属、植物、アクリルという質感の違いが見られます。
【GINZA SIX 屋上庭園の印象】
ここからはGINZA SIX を訪問した感想を少しお話します。
事前情報では「エリア最大級の緑」「銀座の街を見下ろす」といった点がアピールされていましたが、実際に訪問すると、壁面緑化の金属部分や磨いた石のベンチなどに硬質な美しさを感じました。銀座基準では緑の多い憩いの場所ですが、他の場所の庭園と比べると、大手町や日本橋の庭園と比べても硬質な印象です。
硬質な理由を筆者なりに想像すると、屋上庭園ゆえに建物のデザインに縛られることや、GINZAブランドにあるのではないでしょうか。
【どのような人におすすめ?】
銀座を訪れた人
【引用】
「銀座最大、地域に開かれた約4,000㎡の屋上庭園」
「都会の中で自然を身近に感じられる環境をシンボリックに表現した庭園は、銀座を訪れた人々に憩いや交流の場を提供します」
GINZA SIX 公式サイト
「植栽は、「江戸の庭園文化」をコンセプトに、サクラやカエデ類など
四季の移ろいを感じることができる樹種を採用」
「また、「西欧の広場文化」をコンセプトに、イベント等における活用を重視した広場空間
を屋上庭園中央部に配置」
銀座六丁目 10 地区第一種市街地再開発事業「GINZA SIX」ファクトシート
【基本情報】
所在施設: GINZA SIX
所在施設の性格: 高級ブランド店が出店する大規模商業施設
立地:ビルの密集する商業地
設計:宮城俊作(PLACEMEDIA)
庭の性格: 屋上庭園(休憩所、展望場所、イベントスペース)
作庭年代: 現代(2017年)
アクセス: 東京メトロ銀座駅直結。A3出口から最短2分でビルのB2Fへ
受賞歴:
SEGES (つくる緑)認定
第17回 屋上・壁面緑化技術コンクール 国土交通大臣賞
Comments