披雲閣庭園は迎賓の庭
更新日:2023年12月31日
【披雲閣について】
香川県高松市、高松城(別名玉藻城)三の丸に建てられた披雲閣(ひうんかく)は、大正6年完成の和風豪邸。造ったのは江戸時代に高松城主だった松平家ですが、旧大名家が近代になって城内に屋敷を作ったという珍しい例になっています。
140畳の大書院や90畳の広間(蘇鉄の間)があり、饗応・迎賓の建物という性格があります。平成24年には本館など3つの建物群が国の重要文化財に指定されましたが、指定後も貸館として利用されています。
【庭園について】
披雲閣庭園は披雲閣に付属する庭園です。庭園は建物との関係でいくつかに分かれています。
まず建物の南 (正面) 広場状の庭、次に建物群の西には飛石と植栽の通路などがあります。また建物の間には複数の坪庭があります。
披雲閣が豪邸でありまた迎賓施設の性格もあったせいか、庭園も大きさと派手さが目につきます。
まず建物正面には広場状の前庭があります。国指定文化財等データベースによれば築庭当時は植栽が無く、砂利を敷き詰めた庭だったそうです。想像ですがイベント会場などとして使われたのかもしれません。
140畳の大書院 (写真奥) と 90畳の広間(手前の部屋)にはソテツの庭があります。ちなみに手前の部屋の名前は「蘇鉄の間」。部屋と庭を対にするという意識が感じられます。
そして建物群の北にも庭があります。築山、枯流れ、各種景物があり、いわゆる庭園のイメージに最も近いところです。冒頭の写真はこの北庭。
この庭を建物側から見ると、林の向こうに矢倉が見え、これも華のある風景となっています。高松城はもともとは直接海に面した城で、この矢倉は舟の発着を監視する「着見やぐら」(つきみやぐら)でした。
また飛石や手水鉢などの景石景物が必要以上に巨大なことも特徴です。国指定文化財等データベースには「燈籠・手水鉢などの景物にも大規模なものを使うなど、大正時代の庭園に共通の特質を示す」と解説されています。
石は地元産の庵治石が多く、灰色でキメの細かい花崗岩です。
繰り返しになりますが披雲閣は「迎賓館的性格を持った豪邸」であり、庭もそのようなものになっています。
【注意点】
庭を歩くことは普段からできますが、建物内から庭を見るには披雲閣の特別公開にあわせる必要があります。例年、1月1日~1月3日と、5月5日が特別公開の日です。また、披雲閣で公開イベントが行われる際も建物内から庭を見るチャンスになります。建物に上がりたい人は公開日をチェックしておきましょう。
【評価など】
庭園は2013年に国の名勝に指定されています。その解説文では「地元産の大きな庵治石を多用」「大正時代の庭園に共通の特質を示す事例としても重要」「マツ・ソテツなどの豊かな庭園樹の背景に、城郭建造物を望む意匠・構成も優れている」としています。
(2020年1月訪問。情報は訪問時のものです)
【基本情報】
・施設の性格:迎賓館としての役割も持つ豪邸
・施主:松平賴壽
・作庭時期:大正時代
・公開状況:公開(玉藻公園の入園料が必要)
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