桂離宮で池泉回遊式庭園とは何かを考える
更新日:5月23日
桂離宮庭園は池泉回遊式庭園の代表的なものです。
というよりも池泉回遊式という概念自体が、主に桂離宮庭園の研究から生まれたと思われるふしもあります。
というわけで、今回は桂離宮庭園を例にして、池泉回遊式庭園とは何かを考えようと思います。
【使って遊んで楽しむ要素がある】
桂離宮庭園は見るだけの庭園ではありません。
食事をし、舟遊びをし、茶会や歌会などの会をおこなった庭です。もちろん、そのための施設もあります。
現在でも、年に数日程度ではありますが、皇族の茶会や国賓の接待に使われます。
私たちは皇族の茶会に招待されることもない部外者なので、桂離宮庭園を見るだけの庭だと思いがちです。それはしかたのないことなのですが、本来はこの庭は使う庭だということを、頭の隅においておきましょう。
【部分的に茶庭の要素がある】
桂離宮庭園には茶庭の要素があります。茶室はもちろん、待合、飛石、つくばい、灯籠などが茶庭から取り入れた要素です。
【上流階級の教養をベースにした庭園である】
桂離宮庭園には見立てや名づけなどに和歌や歴史の教養が現れています。
例えば写真手前の風景は歌枕 (多くの人が和歌に詠んだ名所) である天橋立がモチーフだと言われていますし、奥の建物「松琴亭」の名前は『拾遺和歌集』に収録された次の和歌にちなむと言われています。
琴の音に 峰の松風かよふらし いづれのをより しらべそめけむ
【体感、体験する要素がある】
桂離宮庭園は歩く庭園です。飛び石を渡る時や狭い橋を渡る時に人は下を向き、坂を上る時には力を使います。写真で見るだけでは分かりにくい体感的要素です。
【むすび】
池泉回遊式庭園の代表とされる桂離宮庭園には、次のような特徴があります。
・使って遊んで楽しむ庭である。
・部分的に茶庭の要素がある
・上流階級の教養に基づいている
・体感、体験する要素がある
ほかの池泉回遊式庭園に行く際にも、これらの点を意識すると面白いかもしれません。
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