和風庭園と洋風庭園 共通点と違い
- Masahiko Yano
- 2 日前
- 読了時間: 3分
【はじめに】
Google の検索窓に和風庭園、洋風庭園と入力すると「違い」というサジェストが出ます。
和風庭園と洋風庭園との違いは何でしょうか。
個人的にはフレーバーの違いだと思います。
それを説明するにはまず、共通点の話をしなければなりません。

【和風庭園と洋風庭園:共通点】
和風庭園と洋風庭園には4つ以上の共通点があります。順に見ていきましょう。
(1)機能が似ている
似ている点の1つ目は機能です。
和風庭園も洋風庭園も、憩い、社交、趣味活動などのために造られてきました。
(2)造る人(施主)が似ている
第2の共通点は施主です。日本でもヨーロッパでも、王侯貴族が庭園を造り、宗教勢力が庭園を造り、地主などの富裕層が庭園を造ってきました。現在では地方公共団体や中流家庭も施主になります。
(3)使う材料が一部似ている
材料もまた共通点です。和風でも洋風でも、庭園には植物、水、石、土を用います。
(4)使う技術が一部似ている
使用する材料が似ているということは、必要な技術にも共通点があります。例えば植物を栽培する、水をためる、流すなどは共通の技術です。
(+1) 「人の手が入った屋外空間」が似ている
当たり前すぎるかもしれませんが、どちらも人が管理し、人の手が入った屋外空間です。
(+1) 起源が似ているかもしれない
世界史的に見た庭園の起源は、古代エジプトまたはバビロニアで果樹園に装飾や趣味性を加えたものと推測されています。
【和風庭園と洋風庭園:違い】
一方で和風庭園と洋風庭園(特にイタリア、フランス式庭園)の間にはいくつかの違いもあります。
・建物との関係の違い
日本では、庭を歩くタイプの庭園以外に建物内から見る庭園も発達しました。
一方ヨーロッパの庭園は基本的に庭に出て散策やパーティーを楽しむものです。
・整形と非・整形の違い
和風庭園では直線的な水路や軸対称の配置はまれでした。
一方イタリア、フランス式庭園ではこれらが普通に使われてきました。
・装飾、造形物の細かい違い
人工的に造形したものを装飾にする点は共通ですが、
和風庭園では灯篭、垣などが、洋風庭園では彫像やトピアリーが使われました。


【和風庭園と洋風庭園:違いをどう考えるか】
庭園好きの方なら、日本庭園の精神性や自然感について聞いたことがあるでしょう。これは事実ではありません。と言って嘘でもありません。
事実というのは例えば、和風庭園には噴水がほぼ無いとか、四角い池がほぼ無いといったものです。それを「日本庭園では自然を支配せず自然と共にある」というのは、私たちの受け取り方です。
私たちの受け取り方は、前提や枠組みによって変わります。
例えば比較文化論という学問の枠組みでは、和風庭園と洋風庭園の違いから何らかの意味を読み取ろうとするでしょう(つまり自然感の違いです)。
一方で前提や枠組みが違えば「その違いはたいしたものではない」という考え方もあり得ます。筆者は庭園の機能や社会的側面に関心があるので、和風庭園と洋風庭園はよく似ていると考えます。つまり両者の違いはフレーバーの違い、ただし抹茶アイスとバニラアイスの違いということです。
ただし、庭園は趣味のモノなので、フレーバーの部分が語られるのはもっともなことだと思います。
【結論】
和風庭園と洋風庭園は共通点が多い
違いはフレーバー程度のもの
ただし庭園は趣味のものなのでフレーバー部分が語られやすい
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