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正法寺 ○△□の庭 と仙厓

更新日:2023年9月22日

[ZEN味のある小庭園]

大雄山正法寺(だいゆうさんしょうぼうじ)は広島県福山市鞆の浦にある臨済宗寺院。


【庭について】

正法寺の庭は本堂前にある、白砂が少々と植物が少々の小さな庭。

寺の公式サイトによるとこの庭は「現住職が仙厓和尚の書に倣い、禅の思想を組み込んで庭師さんと共に仕上げた庭」。仙厓(せんがい)は江戸時代の禅僧で、その作品の1つに「○△□」とだけ書かれた、書とも禅画ともつかないものがある。この書に倣って、正法寺の庭には○△□が隠されている(ちなみに〇は写真に写っている球体ではなく、もっと大きくて見落としがちなところにある)。仙厓の書との関係で知られていても良いんじゃないかと思ったが、「日本庭園 〇△□」で検索しても建仁寺の庭しか出てこない。

もう1つ、公式サイトで触れられているのがわらべ地蔵さん。立ったり座ったり、思い思いの格好をして、庭のあちこちで遊んでいる。


【感想と余談】

まず特徴的だと思ったのが白砂部分にある石の球体。そもそも正法寺に行こうと思ったきっかけがネットで写真を見てこの球体に惹かれたから。ところが「枯山水 球」「枯山水 〇」で検索しても正法寺がヒットせず、どうやってこの庭のことを知ったのか自分でもわからない。

もう1つ目に留まったのがわらべ地蔵だ。庭本体があくまで真面目なのに対し、わらべ地蔵さんがあることで愛嬌もプラスされて一層良くなっている気がする。オーナメントはこのように、庭本体にないものを足すように使うこともできるのだと思った。

このわらべ地蔵を作った人物は、「正法寺-鞆物語」によると四国の石仏師で馬越さんという方。調べてみると馬越正八さん(先代 故人)と馬越伝心さん(当代)という人がいるらしいが、正法寺のわらべ地蔵を作ったのがどちらかははっきりしない。

余談の余談だが正八さんの作品が耕三寺の千仏洞にあるという。正法寺と近い時期に耕三寺も行っていたので、「あ、あそこか」とつながって嬉しかった。


【正法寺について】

正法寺は臨済宗妙心寺派の寺院で、1598年に東福寺派の寺院として開基、その後1623年に妙心寺の末寺として再興された。わずか25年で「再興」とは何があったのかと思うが、正法寺公式サイトには安国寺 恵瓊(あんこくじ えけい)の死罪に関係があるようなことを書いてある(正法寺の隣にある安国寺も東福寺派で正法寺とは関係が深かったが、そこの住持である恵瓊は関ヶ原の戦いに際して西軍につき、後に死罪となっている)。

正法寺を再興した深溪和尚は庭造りに熱心だったということだが、その庭は残っていない。ただ、その庭を詠んだ歌がある

「ひとやあらぬ花はむかしの作庭」

現在の正法寺は毎月写経会と座禅会を行うほか、6月には禅カフェというイベント、キッサコライブの開催やアートイベント(鞆の浦 de ART)参加など盛んに活動をされている


【どんな人におすすめ?】

・抽象、幾何形が好きな人

・球体やわらべ地蔵など、新しい工夫も好きな人

・鞆の浦の寺巡りをする人(安国寺もすぐ近い)

・文化活動や地域活動など盛んに活動しているお寺を応援したい人


【基本情報】

施設の性格:仏教寺院

庭の性格: 前庭。禅的な何かの表現

作庭年代:現代

作庭者:住職 (栗原正雄 氏?)

アクセス: JR福山駅から鞆鉄バス鞆の浦線鞆港行きで30~40分 終点鞆港バス停下車徒歩10分

公開状況:公開 (志納)



(2022年訪問)




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