琴平町公会堂庭園
更新日:2023年2月26日
長い石段で知られる「こんぴらさん」こと金刀比羅宮の表参道から左の脇道に入り金丸座へ向かって歩いていくと、すぐに幅広の階段が見え、上ると大きな木造日本建築がある。
これが1934年に建てられた琴平町公会堂(ことひらちょうこうかいどう)で、国の登録有形文化財(建造物)にしていされている。場所柄を考慮してお寺か神社風のデザインとなっている。大きな入母屋屋根のホール棟に、小さな和室棟と唐破風のある玄関棟がくっつく形。玄関棟には一般用玄関と貴賓用玄関がある。建物内部は非公開だが現在も集会や催しに使用されている。「四国こんぴら歌舞伎大芝居」の際にはスタッフの休憩所などとして使われている。
敷地内には蕪村の句碑「象の目の笑ひかけたり山桜」がある。妙法寺のところでも書いたように蕪村は讃岐に滞在した時期があり、琴平にいた俳句仲間や金刀比羅宮を訪れている。前出の句はこの時に詠んだもの。「象」とは金刀比羅宮のある象頭山(ぞうずさん)のこと。「山わらう」という俳句の季語、優しげに見える象の眼、象頭山の眼に当たる位置にあるのが金刀比羅宮、といった話が思い浮かぶ。
【庭について】
庭園は建物の北にある。一般用玄関の前、ホール棟からよく見える位置にあり、一般用玄関まで敷石の通路がある。平らな庭で、仕立て松、サクラ、ツツジの刈込などがある。灯篭が何基かあるが、そのうち階段を上がってすぐ左にあるものは元禄7年(1694)建立の古いもの。
庭自体が強く主張するというものではなく、たぶん公会堂を飾る添え物として造られた庭。庭単体でどうこう言うより、和風建築に関心のある人が見て公会堂とセットで楽しむのが良いと思う。
【余談】
近くには金丸座こと旧金毘羅大芝居の建物(重文)や、造り酒屋、老舗旅館などの和風建築もある。このうち、元旅館で現在はうどん屋になっている「虎屋」には庭園がありそうに見えるけれど、今回は見られなかった。庭園と言えば、近くには庭のある旅館「琴平花壇」もある。白秋、鴎外、与謝野晶子なども泊った歴史ある名旅館で、庭の中の離れがあるとか。行ってみたいけどハードルが高いような気もする。
【基本情報】
・施設の性格:公会堂
・庭の性格:公会堂の環境、アプローチ、広間前廊下からの景観
・所在地:
香川県仲多度郡琴平町975-1
・アクセス:
JR琴平駅から徒歩15分
高松自動車道善通寺I.C.から車で15分。駐車場なし。付近にコインパーキングあり
・公開状況:自由観覧
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