衆楽園
更新日:11月4日
絲櫻 水にも地にも 枝を垂れ 山口誓子
【概要】
岡山県津山市にある衆楽園(しゅうらくえん)は、江戸時代初期に作られた池泉回遊式庭園。岡山県下の大名庭園としては後楽園に次ぐ2例目の名勝庭園で、作られたのは後楽園より早いとされる。名勝としての登録名は「旧津山藩別邸庭園(きゅう つやまはん べってい ていえん)」 17世紀の中頃、津山藩2代藩主・森長継(もり ながつぐ) が京都から庭氏を招いて造らせたとされる。仙洞御所をまねたものとされ、実際、おおまかな配置は仙洞御所の庭に似ている。
【全般的な景観】
全体的な雰囲気は、石や人工物が目立たず、広い池と植物による穏やかな風景。地方の大名庭園だが、京風というか公家風の感じを受けた。庭の半分近くを占める池のほとりには桜、しだれ桜、椛などが植えられている。
【地形と配置】
南北に長い庭園で、中央に大きな池(これも南北に長い)がある。池には4つの中島があり、うち3つには橋が架かっている。これらの島によって、池が大まかに3つ(南、中央、北)に分かれている。
池の南部と中央部では、水際線の出入りが少なく緩やかで、池の周りに陸地が少なく、池から小径一本分外側は敷地の境界となっているところが多い。このあたりは平らで見通しが良く、池の南岸から北を眺めると、遠景の中国山地まで見えて広がりのある景色になる。
一方、北部では汀線が出入りしてやや複雑な地形となる。池の北岸は水際まで築山になっているが、そのさらに北にも築山があり、山の間を縫うように路が通っている。
池の北から東にかけて曲水がある。
池の西にややまとまった陸地があって、主要建物はここにある。
【歩く】
歩く部分は平坦な部分が多い。池の外周を廻る路が650mくらい。主な横道は3本。歩く分には、ちょっと見通しが良い部分が続きすぎる(景色が変わらない)気もする。
【景物等】
灯篭があるが後世に付け足されたもの。
橋は土橋が多いのが御所や離宮との類似を感じさせる。
一見すると目立たないが、控えめながら各所に石組がある。国指定文化財等データベースなどでは石組にも注目した記述がある。
【施設等】
トイレ、茶店あり。駐車場有り。
また復元建物「迎賓館」・「余芳閣」・「清涼軒」・「風月軒」の貸出を 行っている。
【評価と評判】
文化庁による解説文(国指定文化財等データベース)では衆楽園北部を「深みのある幽遂な景」、南部を「広闊な水面の風景」と形容し、「北から南へと変化をもって展開する庭園の景が、南北に長い敷地の中にうまくまとめられて」いると評価している。
クチコミは広い水面や各種植物、無料開放である点に注目したものが多い。主張の強い石組が好きな石マニアは衆楽園には否定的。
それ以外で否定的な口コミとしては、「民家や学校が丸見えなのが残念」というものがある。
【基本情報】
・施設の性格:時期により謁見の場所、隠居所(江戸時代)。都市公園(現代)
・作庭時期:江戸時代
・施主:森長継
・所在地:
〒708-0004 岡山県津山市山北628
・アクセス:
中国自動道津山IC・院庄ICから車で約15分
JR津山駅から徒歩約20分
・公開状況:公開(無料)
Commenti