香風園
更新日:2023年11月29日
【概要】
香川県坂出市にある香風園(こうふうえん)は1911年に作られた回遊式庭園で、地元の実業家、鎌田勝太郎(かまだ かつたろう 1864-1942)の別邸。坂出市指定文化財。1955年に坂出市が購入して公園となり、1999年に庭園の復元と再整備が行われました。
【庭園について】
東西120m、南北50m程度の長方形の敷地で、東側は芝生広場を中心とした洋風庭園、西側が池の周りを巡る回遊式庭園でとなっています。坂出市のホームページによるとこの形式の日本庭園(洋風庭園を併設した回遊式庭園ということか)は明治期に多数つくられたものの、原形を残して保存されているものは少ないそうです。
その配置を見ると、正門は南西部にあり、門を入ると日本庭園があり、日本庭園の北に住居と茶室、となっています。下の図で1が正門、2が翠松閣 (旧住宅)、3が時雨亭(茶室)、4と5の位置に小滝、6が芝生広場、7が無料休憩所です。
ここから南へ約4㎞のところに飯野山(別名讃岐富士)という形の良い山があり、茶室からは庭越しに飯野山が見えたでしょう。
現在は園の南にJR予讃線の高架があり、借景は失われているうえ、高架に圧迫されているように感じます。
【周辺情報】
香風園の周辺には「鎌田共済会郷土博物館」「鎌田醤油」「淡翁荘」など、鎌田勝太郎ゆかりの建物や施設があります。
まず西隣にはレトロな洋風建物がありますが、これが鎌田共済会郷土博物館で、鎌田勝太郎が設立した鎌田共済会の施設です。建物は国の登録記念物、所蔵資料のうち一部(坂出塩田を築いた久米通賢の資料)は重要文化財に指定されています。
北隣には鎌田醤油の社屋と工場があります。鎌田醤油は1789年創業という歴史ある食品メーカーで、現在の主力商品はめんつゆなどのだし醤油です。勝太郎も鎌田醤油のオーナー一族の出身で、醤油醸造のほか塩業でも活躍し「坂出塩業の父」といわれることもあります。
鎌田醤油の北にある「淡翁荘」 (登録有形記念物) は1936年に建てられた鎌田醤油の社長宅です。外観はモダニズム的な建物ですが、内部には和風座敷や本格的な洋間があります。ちなみに「淡翁」とは鎌田勝太郎の号です。
【基本情報】
・施設の性格:近代実業家の別荘、後、公園
・施主:鎌田勝太郎
・園内施設:トイレ、休憩所
翠松閣 時雨亭(茶室)-事前申請の上で利用可
・作庭時期:明治時代
・アクセス:
電車利用の場合、JR坂出駅から徒歩5分くらい
本州方面から自家用車利用の場合、坂出北インターチェンジから車で5分 (駐車場は坂出駅地下を利用)
・公開状況:公開(無料)
Comments