都会の庭:新ダイビルと堂島の杜
更新日:5月25日
【前説】
堂島の杜は2015年に完成した2代目新ダイビルの周囲にある約1,000坪の緑地。この付近には数少ないまとまった緑地として、人間だけでなく、鳥などの生き物にとっても憩いの地となっています。本記事では堂島の杜のコンセプトや風景を簡単に紹介します。
【堂島の杜と初代の新ダイビル】
堂島の杜の精神は、立て替え前のビルから受け継いだものです。
1963年に完成した新ダイビル(初代)北館には、当時としては珍しい屋上の森がありました。その規模は常緑樹3795本、落葉樹522本、草花類1110本。野鳥のための餌箱や水浴び場もありました。
この水浴び場は日本野鳥の会の創設者である中西悟堂の進言で造られたそうです。
当時の工藤友惠社長は、ダイビルの事業である土地開発についてこう語っています。
「自然を保護しつつ、生きとし生けるものの生活環境を維持しつつ、土地を開発し人間生活の為の土木建築を進めるのが人間の叡智であり萬物の霊長たる所以である」と。
このような過去を踏まえ、堂島の杜は先代からの継承を意識して造られました。
具体的には屋上の森から22本の樹木を堂島の杜に移植しています。
【堂島の杜】
ここからは堂島の杜を写真メインで紹介します。
まずはエントランス (敷地南東部)。
堂島の杜は公開空地のため、ビルに用がない人でも出入りできます。
遊歩道やベンチもあります。ベンチに木の枝が少々かかっているのが個人的ポイントです。
いくらか引っ込んだ感じの座るスペースもあります。段差がベンチになっています。
敷地には南西からはいることもできます。
ヒツジの像が写っていますが、この像も建て替え前のビルから受け継いだもの。建て替え前のビルではこのようなヒツジが4階の四隅に置かれていました。
お気づきかと思いますが、歩道のへりがまっすぐではなく細かく出入りしています。人工感を和らげるためでしょうか。
建物の南(正面)にはこのような列柱と水景施設があります。
この列柱は飾りではなく、建物を支える構造上の柱です。
水景施設には小鳥が水浴びに来ることもあるそうです。
杜はビルの裏 (北) にもあります。
裏の森を建物内から見ると、このような巨石を配した庭園になっています。
【受賞歴】
2015 年 おおさか環境にやさしい建築賞(事務所部門賞)
2015 年日本生態系協会 (JHEP) 認証で西日本初の最高ランクAAAを取得 (2020年更新)
2016年 第36回 緑の都市賞
2016年 第6回「みどりのまちづくり賞(大阪ランドスケープ賞)」 「ランドスケープデザイン部門 大阪府知事賞」
2016年 第 15 回屋上・壁面・特殊緑化技術コンクール 日本経済新聞社賞
2017年 第37回 大阪まちなみ賞(大阪市長賞)
2017年 「SEGES(シージェス、社会・環境貢献緑地評価システム):都市のオアシス」に認定
【基本情報】
施設の性格: オフィスビル
庭の性格: 緑地、公開空地
作庭年代: 現代
設計:?
アクセス:
京阪 大江橋駅 から徒歩3分JR北新地駅から徒歩7分
地下鉄淀屋橋駅から徒歩8分
公開状況:公開 (無料)
外部サイト
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