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福武トレス1 数寄屋風迎賓館と小形研三による雑木の庭

  • 執筆者の写真: Masahiko Yano
    Masahiko Yano
  • 5月3日
  • 読了時間: 4分

更新日:5 日前

福武…と言えば、福武書店(現:ベネッセコーポレーション)の進研ゼミを連想される方もいると思います。今回紹介する福武トレスは福武書店ゆかりの庭で、2024年にリニューアルオープンしました。心地よい雑木の庭です。


【福武トレスについて】

福武トレスは岡山市半田山の中腹にある文化施設。敷地面積:1,182.43㎡。

福武書店の迎賓館をベースにし、時代や目的の違う3つの施設が雑木の庭に囲まれてつながる構成となっています。

3つの施設とは

元からある迎賓館で数寄屋風建築の「Fサロン」、

新築の展示施設で近未来的な「Fギャラリー」、

イベントスペースである「F スタジオ」(非公開)。

この中から今回はFサロンについて紹介します。


【福武トレス:Fサロンについて】

Fサロンは福武書店迎賓館だった建物とその周辺のエリアで、1985年に完成しました。現在も迎賓や福武家のプライベートな集まりに使われています。

旧・福武書店迎賓館
旧・福武書店迎賓館

建物を囲む庭園は小形研三の作。小形研三は雑木の庭の完成者として知られる作庭家で、雑木の庭の祖こと飯田十基の弟子にあたります。

客間前の庭園
客間前の庭園

庭園は作庭から年月が経過し、木が成長しすぎたため、小形氏の弟子である秋元通明氏が

木を植え変えるなどして当初の姿を復元しました。当時の姿を知るために雑誌『庭』に掲載された記事を資料としたのですが、出版社にも原本が無く、秋元氏が個人で入手したものを資料としたそうです。


庭園には細い木が多く、木を植え変えたことが理解できます。『庭』の写真と比べると木の傾きなども再現していることが分かります。


庭園は下草も豊富です。

別の方の記事によると下草の様子は多少変わっているとのこと。

アプローチと下草
アプローチと下草

[見学レポート]

福武トレスはプライベート施設ですが、日によって有料公開もされています。

午前午後の入れ替え制で、ネット予約が必須。

筆者が参加したのは10時から12時30分までの午前の部です。


岡山駅から路線バスで15分ほど移動し、「岡大北口」で下車。住宅地の中の坂道を5分ほど登ると福武トレスに到着します。受付棟で資料等を受け取り、参加者がそろうまであずまやで待機するよう指示を受けました。あずまやにはお茶と紙コップが用意されていました。

あずまやと延段
あずまやと延段

参加者は筆者を含めて3組、計6人。内1人は外国人でした。

最初50分ほどFサロン→庭園→Fギャラリーとまわりながら解説を聴き、その後自由行動となります。

解説では施設が造られた経緯や思想、建物と庭の見所、作庭の裏話など様々なことが話題になりました。

解説を聞いている間に、茶トラの猫が現れ、筆者から1mくらいのところで家の基礎に背中をこすりつけていました。案内人の方によると、2匹の猫が住み着いているそうです。かわいかったのに写真が無いのが残念です。


解説ツアーが終わると残りの時間は自由行動。

まず事前に申し込んでおいたカフェでコーヒーを頂きました。その後まだ1時間くらいあるので、散策したり、写真を撮ったりしながら過ごします。

福武トレス モミジの若葉
福武トレス モミジの若葉

新芽が赤いこのモミジが素敵。

新緑を背景にすること、新芽なので葉が痛んでいない点が秋の紅葉との違い。


トイレはFサロンとFギャラリーに1カ所ずつです。

なお、Fギャラリーについては別記事で紹介する予定です。


【ここまでのまとめ】

以上が福武トレス、Fサロンのご紹介になります。

かなりおすすめの施設です。

自然風の庭、背景の半田山、最大15名という人数制限などが相まって心地良い空間である点がポイント。建築の勉強をしたりディティールを見たりしてもよいのですが、純粋に心地良いというのはプラスです。

自然風の庭が好みに合うならかなりのおすすめです。


【基本情報】

施設の性格:プライベートな迎賓、文化施設。

庭の性格:施設の環境

作庭年代:現代

作庭家:小形研三(オリジナル)、秋元通明と荻野景観設計(修復、拡張)

施設:カフェ(予約制。Fギャラリー)、トイレ(FサロンとFギャラリーに1つずつ)、駐車場数台分

公開状況:プライベート施設だが、日によって有料公開。予約制。



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