都会の庭:グランルーフガーデン
東京には各地にオープンスペースが造られますが、好立地にあるのに人が寄り付かない、ということもままあります。
本記事で紹介するグランルーフガーデンはそのようなオープンスペースにテコ入れのための改修が入った事例です。
【グランルーフ】
まずグランルーフについて簡単に説明しましょう。
グランルーフとは東京駅八重洲口にある230mの大屋根です。その下の商業施設もグランルーフと呼ばれていました。2013年に竣工し、2017年には土木学会デザイン賞を受賞しています。
【リニューアルとグランルーフガーデン成立】
前記の大屋根の下には、後のグランルーフガーデンとなるペデストリアンデッキがありました。ただし使用者は少なく閑散としていたようです。
日建設計によれば、
「2階のペデストリアンデッキは、地上から高い位置にあるため、存在を認知されにくく、利用者が少ないという課題がありました。大屋根をスクリーンにした光のアート、ヨガ、マルシェ、ビヤガーデンといったイベントが開催されると、一時的に人が集まるものの、普段は南北ビル間の通行利用に留まり、閑散としていたのです」
このような理由もあって、グランルーフのリニューアルが行われました。こうしてできたのがグランルーフガーデンです。
【リニューアル後のグランルーフガーデン】
リニューアルにあたっては、デッキを人が(通るだけでなく)滞在する空間にすることを目指しました。具体的には
・プランターなどの植栽が増えた
・ベンチ、テーブル、カウンターなどのファニチャーが増えた。
・プランターなどで囲まれたヒューマンスケールの空間ができた
などが目に見える変更点です。
これらのプランターやファニチャーは一部が可動式で、イベントなどの都合により配置が変えられるようです。
またWi-Fiや電源コンセントが設置され、利便性も向上しました。
【まとめ】
グランルーフガーデンは、閑散としていたペデストリアンデッキを魅力的な場所に変えようとして改修された場所です。その効果はどうだったでしょうか。筆者が見た限りでは、ほどほどに間を開けつつも人が絶えない様子でした。
フラグシップ駅や大きな商業施設に魅力的な共用部分を造ることがトレンドのようです。私有地ではあるけれども公園的な性格もあるこの種の空間が今後どうなるのか、注視していきたいと思います。
【基本情報】
施設の性格:鉄道駅
庭の性格:座席と植物のあるペデストリアンデッキ
通路、休憩場所、イベント会場を兼ねる
作庭年代: 現代(2013 年竣工、2023年リニューアル)
事業主:東日本旅客鉄道株式会社
デザイン監修:日建設計
(2024年10月訪問。情報は訪問時のものです)
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