披雲閣庭園を室内からも見よう
【はじめに】
香川県高松市、玉藻公園内にある披雲閣庭園は国指定名勝。建物(披雲閣)は重要文化財。
三が日など、披雲閣が公開される日に行けば、本来の視点から庭を見ることができます。
【披雲閣とは】
披雲閣は高松城主だった松平家の子孫が大正時代になって高松城内に建てた別荘です。接客空間が充実した豪邸で、この地域における迎賓館の役割も担っていました。
その配置は南に玄関があり、南西部に2つの大広間を含む接客空間、南東部に調理場など、北部に寝室等、となっています。
【室内から見る披雲閣庭園:写真解説】
蘇鉄の間:約100畳相当の板の間で、玄関に近い迎賓空間です。現在はフェルトの絨毯が敷かれ、イベントによく使われる場所。筆者の訪問時には書初め大会がおこなわれていました。
写真映えしそうで、実は思い通りに撮れない場所。人が多いので肖像権などに配慮しなければなりません。また、窓際に物が多いのも撮り方を難しくします。

槇の間:建物の北部にある部屋。「内向きの対面所」と説明がありました。正面は高松城着見櫓。披雲閣庭園の特徴である巨大な飛石も見えます。

松の間:建物の北東部にある部屋で、居住、宿泊スペース。ほかの部屋も含め、部屋の名前は窓から見える風景にちなんでいます。庭園と建物が一体であることが読み取れます。

波の間:建物の北部2階、槇の間の上にある部屋。ここからも高松城の櫓が見えます。
「マツ・ソテツなどの豊かな庭園樹の背景に、城郭建造物を望む意匠・構成も優れている。」
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中庭:披雲閣は機能ごとに分かれた棟を廊下でつないだ構造のため、いくつもの中庭があります。

【披雲閣に上がれるのは?】
例年1月1日から3日まで披雲閣の内部が公開され、あわせてかるた大会や書初め大会が行われます。
また、この日以外にも公開イベントなどで披雲閣に上がれる可能性があります。2024年には5月5日(玉藻公園一般開放記念日)と10月18日のコンサート(ソテツの間のみ)で披雲閣に上がることができました。
【まとめ】
披雲閣は迎賓館の性格も持つ和風豪邸です。庭園は建物周りの環境であり客を迎える部屋の飾りだったと考えられます。ですから、庭園だけを切り離してみるよりは、建物内からかつ建物を含めてみるのが本来の見方だと言えるでしょう。
披雲閣内部に入るチャンスがあれば、ぜひ室内からも見ることをおすすめします。
【基本情報】
所在施設: 玉藻公園(旧高松城)
所在施設の性格: 旧大名家の別荘。迎賓館の役割も持つ和風豪邸。
立地: 高松城内。海に近い平地で、城の建物が見える。
作庭: 大胡勘蔵
庭の性格: 迎賓施設の一部。
作庭年代: 大正時代
アクセス:JR高松駅から徒歩10分
(2025年1月訪問。情報は訪問時のものです)
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