旧香川県立体育館庭園
更新日:1月9日
[危機にあるモダニズム建築の庭]旧香川県立体育館は丹下健三が設計し1964年に竣工した体育館。釣り構造の特徴的な姿から「船の体育館」とも呼ばれている。
建物は東西を軸とした舟形で、入口は西側にある。石庭は「舟」の中央部の左右、つまり南北にある。石組があって日本庭園を思わせるが、モダニズム建築に合わせて再解釈されているのは香川県庁舎庭園と同様。庭を造ったのは和泉正敏氏(イサム・ノグチのパートナーだった石彫家)。
さて2022年初めの時点で、この体育館と庭は存亡の危機にある。ここまでの経過をまとめると、耐震工事の入札(3度行われた)が成立しなかったため、2014年に体育館としては閉館。その後2018年にニューヨークのワールドモニュメント財団から「危機に瀕している世界のモニュメントリスト」に登録された。国内でも保存運動がおこり、香川県も活用のためのヒアリング(2021年)を行うなどしたが、その結果も思わしいものではなかった。解体が現実的になってきたと言える。
香川県も財政難だ、ということは分かっているので、何が何でも保存しろとは言わない。だがちょっと寂しいとは思う。
現在旧体育館は立ち入り禁止になっており、庭もフェンスで囲まれている。私が撮影に行ったとき、外国人らしい2人連れが写真を撮っていた。
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