小石川後楽園の起伏と笹
更新日:6 日前
【前説:小石川後楽園について】
東京都文京区にある小石川後楽園(こいしかわこうらくえん)は江戸時代初期、水戸徳川家が江戸に保有した屋敷(中屋敷、のち上屋敷)の庭。江戸時代の大名庭園のうち初期の例として重要です。
小石川後楽園に関しては偃月橋や西湖の堤、大泉水の中島などが取り上げられることが多く、園内名所として認知されているようです。
【地形】
大きな池(大泉水)と、それよりは小さい複数の池があります。
園内は起伏に富み、大泉水の北、東、南では築山が池に接近しています。大泉水の西にはややまとまった平地があり、その西にはまた山がちの場所があります。
これらの山のうち、西側の山は急傾斜の箇所が多く石段になっています。
石段の中には名前が付けられて名所扱いのものがあります。写真の「愛宕坂」です。名前は京都の愛宕山から。かなり急な坂で見た感じ45度を超えています。ボランティアガイドの方によるとこれは通らせるつもりのない見た目だけの路で、登るための路は左にあるそうです。
池の南東側にも低い山と緩い石段があります。パンフレットに「延段」として紹介されているところです。この辺りは「木曽山」「木曽路」とも呼ばれているようです。
池を一周しようとすると必ずこの山の中を通ります。順路と言える主要園路に上り下りがあるのは小石川後楽園の特徴と言えるかもしれません。同じ東京にある江戸時代の庭園でも、浜離宮恩賜庭園や芝離宮恩賜庭園の園路は基本平らです。
<2024年11月追記>
2024年に小石川後楽園を再訪したので写真を追加します。
【笹のグラウンドカバー】
グラウンドカバーは芝もありますが、短く刈り込んだ笹を多用しているのが特徴です。
この笹のグラウンドカバーは後に大仙公園日本庭園などでも取り入れられています。
【評価等】
「江戸時代大名庭の初期のものとして典型的のものである」
文化遺産オンライン
「小石川後楽園の熊笹による大刈込の築山は景観として傑出しているし、芝生や苔の生育困難な場所に対して申し分ない創作である」
重森三玲 著『日本庭園史大系』より
【施設】 トイレ、ベンチ有。
飲食できる場所(涵徳亭)はありますが、入口は庭とは別になっています。
売店も料金所より外にあります。
(2020年2月訪問。情報は訪問時のものです)
【基本情報】
・施設の性格:水戸藩邸(江戸時代)、都市公園(現代)
・庭の性格:饗応を中心とした多目的な庭(江戸時代)、都市公園(現代)
・作庭時期:江戸時代
・施主:水戸藩主徳川頼房ほか
・作庭家:徳大寺左兵衛ほか
・所在地:
〒112-0004 東京都文京区後楽1丁目6−6 小石川後楽園
・公開状況:公開(有料)
【外部サイト】
小石川後楽園|公園へ行こう (公式)
Comentarios