旧芝離宮庭園の築山と路
更新日:2023年12月2日
今回紹介する庭は東京の旧芝離宮恩賜庭園 (以下芝離宮)。
芝離宮全体についてさらっと触れた後は、築山と園路に注目します。
【概要】
旧芝離宮恩賜庭園は東京に残る江戸時代の大名庭園の1つ。元禄年間(1688〜1704年)に築かれた「楽寿園」が始まりとされ、もっとも古くからある大名庭園の1つです。大きさはおよそ150m×220m。
【築山】
芝離宮には人工の山 (庭の文脈では築山と言います) がいくつもあり、一部には名前がついています。写真は庭の北部にある「大山」という山で、登ることができ、頂上は展望台になっています。
大山の上から見た風景がこちら。
大山以外に池のそばにも山があるのが見えます。
このように人工の山をいくつも造った理由ですが、芝離宮は元々平らなところに造られた庭なので、人工の山を造ることで地形的な面白さを出そうとしたのでしょう。これらの山があるおかげで、庭を上から見下ろすこともできますし、歩いた時に池が山に隠れたりします。
また斜面や山すそにある石組も庭の見どころの1つです。
【園路】
園路にも注目しましょう。園路はおおむね平らで、池に沿って歩くルートと、池のまわりの築山のさらに外を歩くルートがあります。
その中で個人的に注目したのがこの写真の園路です。
枯滝(水の無い滝)の川床が路になっているということですが、見てのとおり両側を石壁に囲まれた狭い路になっています。広い庭なのに、わざわざ見通しの悪い路や圧迫感があるほど狭い路を造る例は、江戸時代の庭園にはよくあります。
路の横にある山に上ってみると、このような場所がありました。木の柵の向こうにある低いところが先ほどの路の続きです。どうやらその上に橋があって立体交差になっていたように見えます。
造られた当時はこの場所がどのようになっていたのか気になります。
【おわりに】
以上、旧芝離宮恩賜庭園を主に築山と園路に注目してみてきました。芝離宮では石組や西湖堤が見所として紹介されることが多いのですが、こうしてみると地形や園路にも特徴があることが分かります。
【基本情報】
施設の性格: 大名家別邸 (江戸時代)、都市公園 (現在)
庭の性格:
作庭年代: 江戸時代
庭の公開状況:公開 (有料)
園内施設:弓道場 (弓道の有資格者のみ利用可能)
*有料エリアにトイレや売店は無いので注意。一番近いトイレは料金所外の児童公園のトイレ。
*休憩やイベントに利用できる建物はありません
アクセス:
JR山手線・京浜東北線「浜松町」北口より 徒歩1分
都営地下鉄大江戸線「大門」より 徒歩3分
都営地下鉄浅草線「大門」より 徒歩3分
*駐車場は無いので注意
(2023年10月訪問。情報は訪問時のものです)
【外部サイト】
旧芝離宮恩賜庭園 (芝離宮を管理する公益財団法人 東京都公園協会のサイト)
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