南禅寺金地院庭園
更新日:1月3日
京都でも人気の観光エリアの1つ、南禅寺界隈。南禅寺に向かって歩いていくと、中門の手前の右側に少し引っ込んで地味な門があります。南禅寺を目指す観光客は多くが素通りしますが、これこそ庭の世界では有名な金地院(こんちいん)です。
【金地院について】
まず金地院について少しだけ説明しましょう。
金地院 (臨済宗南禅寺派) は南禅寺の塔頭です。庭園以外にも、国の重要文化財に指定された本堂や狩野派による襖絵、八窓席 (はっそうのせき) と呼ばれる茶室などの見どころがあります。境内には徳川家康を祀る東照宮がありますが、これは家康が遺言で指定したもの。全国に多数ある東照宮の中で家康の遺言によって建てられたのは久能山、日光、そして金地院の3カ所だけという特別な存在です。
また江戸時代の金地院は臨済宗のお寺の人事権を握る特別なお寺でした。
現在の場所に金地院をつくったのは徳川家康のブレーンだった崇伝(金地院崇伝)。崇伝は幕府を支えるブレーンだという意識が強く、南禅寺のことよりも江戸のことを優先するよう弟子たちに言い残したほどです。こういったことから家康や幕府も金地院に特別の地位を認めたのでしょう。
【金地院庭園について】
庭は池泉庭と方丈前の枯山水があります。順路に沿って紹介しましょう
順路案内に従うとまずは池庭を通ります。
それから木々の間を飛石伝いに進み
途中東照宮などがあって、
ルートの最後に方丈に出ます。
ここにある庭が特別名勝にも指定された枯山水です。
方丈側から見るとまず手前に幅35m奥行き10mほどの白砂のスペース、その奥正面に礼拝石と蓬莱山があり、礼拝石の左右には、大きく目立つ鶴島と亀島がほぼ対称の位置に配置されています。
このような対称配置は日本庭園ではめずらしいのですが、神社にたとえてみると納得がいくかもしれません。礼拝石は想像上の参道で、参道の左右には、鶴亀が左右一対で配置されています。狛犬の「あ」と「うん」の狛犬のように。つまりこれは格式と信仰を意識した配置でした。
この枯山水は小堀遠州作であることが確実な数少ない庭の一つ。遠州作と言われる庭園のうち史料的裏付けのあるものは少ないのですが、その中で金地院の庭は依頼人である崇伝の日記によって遠州作が裏付けられています。
【基本情報】
・施設の性格:仏教寺院(塔頭寺院)
・庭の性格:方丈前庭
・関わった人々:崇伝(依頼者)、小堀遠州(設計、総監督)、村瀬佐介代(代理監督)、賢庭(施工)
・所在地
京都府京都市左京区南禅寺福地町86−12
・アクセス
京都市営地下鉄東西線蹴上駅下車 徒歩数分
【外部サイト】
Comments