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南楽園で伸びやかな気分になる

更新日:4月21日

【南楽園について】

南楽園(なんらくえん)は風光明媚な宇和島の地にある観光庭園・都市公園。

​設計は大田黒公園(東京都)、三景園 (広島) などを設計した伊藤邦衛です。公式サイトにある「「山、里、町、海」の景観を構成しています」という紹介文も三景園を連想させます(三景園は「山、里、海」ですが)。

その印象を大づかみに言えば、広大な池と滑らかな曲線が特徴で、明るくのんびりした雰囲気。

面積約15万平方メートルと庭自体が広い上に、園内の風景は背景の山々と違和感なくつながるので、一層広々とした感じがします。

南楽園
南楽園

南楽園と周囲の山
南楽園と周囲の山

南楽園と周囲の山
南楽園と周囲の山

池も巨大で、google マップで簡易測定したところ、西側の池は4万平方メートルくらいあります。 池1つだけで縮景園や玄宮園全体と同じくらいあるわけです。この巨大な池と周辺が「海」のエリアで、広大さを前面に押し出した感じ。この池ではボート遊びもできます。



​池以外で広い面積を占めるのが刈込で、サツキが3万6千株・ツツジが3万株ほどあります。ほかに芝生広場や花菖蒲エリア(3万株)もあるので、物理的に明るい部分大きな割合をしめます。高木は庭園のヘリと山ゾーンにありますが、庭の面積に占める割合は少なめです。

【個人的注目点】

1. 曲線

池、島の輪郭は円弧のような曲線を多用し、滑らかで図案化されたようなカーブ。別のところにある曲線が並行したりつながっていたりする(ように感じる)部分もある。

滑らかで図案化されたようなカーブ
滑らかで図案化されたようなカーブ

2. 石組

中島の石組
中島の石組

3. 人文景

石垣、民家など「人が造った風景」を取り入れています。

「山」のエリアにある石垣
「山」のエリアにある石垣

石垣と、民家風休憩所
石垣と、民家風休憩所

4. 延段

「山」エリアに少しだけある切り石の延段でモンドリアン・コンポジションを連想させます。石は灰色の濃淡でちょっと銀色っぽく見えます。

延段
延段

【要素別にコメント】

すでに書いた通り、池は巨大で、風景はのんびりと広がりのある風景。

広くて平らな路が多く、歩きやすいのはよいのですがが、路の風情には欠けます。起伏・分岐・見え隠れなどは園の広さのわりに少ないです。コンクリート舗装やコンクリートブロック舗装が多いのは合理性重視の判断でしょう。


​建物は普通のあずまやと民家風の休憩所と、管理棟兼土産物屋があります。民家風の休憩所は木々や石垣とあわせて田舎風の風景をつくっています。


庭の広さのために目立ちませんが、よく見ると大石も中島などの各所にあります。石組は教科書的な感じではありませんが、もしかすると良いものかもしれません。


景物は普通の春日灯籠、普通の岬灯籠などがあり、特別なものではありませんが、悪目立ちするわけでもありません。山の家付近にはオリジナル延段があります。


植物についてはすでに書いたように、花菖蒲園やツツジ・サツキの刈込があります。広大な庭園ですが刈込はよく手入れされています。


​【個人的に「改良の余地あり」と思う点】

・海のエリア(西側の大きな池)は景観としては間延びする。

​・広さの割に路の高低差は少なく、見上げる・見下ろすという要素も弱い。せっかくの広い庭なので、もっと角度をつけて上から見下ろした方が奥行き感や壮大さが感じられると思う。


・入口付近の演出はよくない。まずうろ覚えの長屋門のような門は、半端に似ているがゆえに不完全に、あるいはニセモノっぽく見える。門のあたりが看板やポスターでごちゃごちゃしているのもよくない。せっかく門の前に堀と橋があるのだから、橋を渡った先は(門も含めて)別世界という演出にした方がよかった。


・門を入ってすぐのところにある管理事務所兼土産物屋は平凡なコンクリート建築である上に、園内で一番目立っている。門を入ると目の前にこの建物の壁がある。しかも影になった北面だ。


​【利用、施設】

食彩 和日輔(わびすけ)という食事処があり、鯛めしなどの郷土料理、うどんなどの軽食が食べられます。ほかに売店、休憩所、自販機あり。

​すでに書いたように西側の広い池ではボートが利用できます。



南楽園入口
南楽園入口



【基本情報】

・施設の性格:都市公園

・作庭時期:現代

・作庭家:伊藤邦衛

・所在地:

798-3303 愛媛県宇和島市津島町近家甲1813

・公開状況:公開(有料)

・アクセス:

宇和島市中心部から車で25分

津島高田 IC から車で 8 分

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