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小比賀家住宅庭園

更新日:2023年2月26日

<ツリーハウスと護岸石組>[月1回限定公開]

高松市の中心部から南西に7㎞、耕作地と戸建て住宅が入り混じるなかに小比賀家(おびかけ)住宅はある。江戸時代の大庄屋の邸宅で、長屋門、主屋など4棟は国指定重要文化財、庭園は香川県指定名勝で、江戸時代初期のものとされる。重文に指定されている4棟のうち、長屋門全体と主屋の一部(南側の約半分)が限定公開されている(月1回、第3日曜日のみ)。


以下、個人的に選んだ3つのポイントについて

1. 古い大きなお屋敷

2. 荒々しい護岸石組

3. 木の上の亭


1. お屋敷(敷地と建物)

とにかく広い(数値等は後で)。そして土塀と長大な長屋門が保存されている。この景観を維持するため、土塀も含めて重文に指定されている。

ちょこっと専門的なことを言うと、主屋の屋根は四方蓋造り。茅葺、寄棟造りの屋根の四方に瓦葺の庇をつけたもので、四国の瀬戸内海側などで見られる。


2. 荒々しい護岸石組

庭は建物の中、特に「座敷 下の間」から見ることになるが、ここから見ると目立つ位置に大きな半島があり、そこの石組がごつい。それ以外にも石組があるが、木の陰や手前の島の陰になってよく見えない。庭が造られた時期は記録に残っていないが、石組などの様式から江戸時代初期と推定されている。


3. 木の上の亭

半島の上には亭があってよく目立つ。また、柱が外側に傾いて上が大きくなっているので奇妙に見える。この亭は木の上にあり、木製の階段で登るようになっている。柱が外側に傾いているのは、斜めに伸びた枝を柱にしているため。

なお、この亭については下記の本に言及がない。


【評価等】

重森三玲著『日本庭園史大系』(1978)に、小比賀氏庭園として記載され、築山部分の石組が特に評価されている。山陽新聞社編『中国・四国の庭』(1970)では、「朴訥」「豪放」「庭とはくつろぐ場所という考えを、技巧よりも優先させた」と評している。


門内の写真は控えるが、公道から見える部分だけ写真を掲載する。敷地は短辺が約65m、長辺が約90mある。長屋門は桁行が35mもある。

長屋門と公道の間には20mほどのスペースがあり、門までの路は松並木になっている。パンフレットによるとここは「竪馬場」。松並木の周辺に梅林がある。


庭園平面図

雑だけど庭園の絵。半島部分の護岸石組と、奇妙な亭が目立つ。



【最後に】

小比賀家住宅は現在も小比賀家が所有し、使用しているものです。月一回でも(小比賀家にあまりメリットがないにもかかわらず)公開してくださっていることに感謝し、迷惑をかけないようにしましょう。

【基本情報】

・施設の性格:個人住宅(庄屋屋敷)

・庭の性格:迎賓空間の修景

・作庭時期:江戸時代?

・アクセス:

JR高松駅からバスで25分、御厩バス停下車徒歩5分

・公開状況:日を限定して公開

毎月1回第3日曜公開

入場料 大人500円/小・中学生300円

【外部リンク】


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