園路集3:大名庭園と武家屋敷の庭
更新日:1月28日
【はじめに】
桃山時代から江戸時代にかけて、大名の権力と財力を背景にして大規模な庭園が多数つくられました。その中には園路に工夫を凝らしたものも多く、興味深い事例の宝庫となっています。本記事では筆者が実際に訪問した庭園の中から、気になったものを写真で紹介します。
【園路集:大名庭園と武家屋敷の庭 :ギャラリー】
・旧徳島城表御殿庭園
1600年に完成したこの庭園(国指定名勝)では、岩場を歩くような野趣のある園路や、満潮の時期になると水没する飛び石などが見られます。



・芝離宮恩賜庭園
枯滝から続く、水の無い「川」が園路になっている箇所があります。
場所は東京都公園協会のサイトに掲載されたマップから

・浜離宮恩賜庭園
園路の脇に盛土で山を作り、わざと視界を制限しています。

・小石川後楽園
南部には「木曽山」と呼ばれる盛り土の山があり、山の間を曲がりくねった路が通っています。
路面は切り石と玉石を混ぜて舗装しています。


北西部にも土を盛った山があり、路はやはり切石と玉石を混ぜて舗装しています。

・六義園
六義園も山要素の強い庭園です。池のまわりに築山(人口の山)が複数あります。
路は
池の周りを巡る内側の路
築山より外側(池と反対側)を巡る外周の路
の二重の円があり、さらに築山の間の路もあります。
写真は築山より外にある「ささかにの路」。藪の間を通る細い路で、山を歩いているつもりになれます。

・岡山後楽園
岡山後楽園の中の小山に上ってみると、路の描く模様がよく見えます。

人口の小山(唯心山)へ上る路は、ことさらに曲げています。

後楽園を隅々まで歩くと、案外森のような場所があり、森を歩くような路があります。写真は古い図に「キソ谷」と記されている場所です。

二段の滝の、上段と下段の間に飛石の路があります。
残念ながら通行止めとなっています。

・栗林公園
栗林公園も面白い園路がある庭園です。

池から離れ、山の間に入る路。
写真左端にちらっと水面が写っています。
池を廻る路が一旦池を離れ、水面との間に盛土の山が来る例は、江戸時代前期によく見られます。

園内の水源直後の流れを横切って飛石の路があります。
自然と下を向くため、地下から出た直後のきれいな水が目にとまります。

高さ8mの人工の山に上るには、一段の高さも幅もバラバラな石段を登ります。

「桟道(さんどう)」と名付けられた路。路を園内の名所とみなしていたことが分かります。

・浴恩園
今は無き浴恩園の「モミジの下道」。路の上まで枝が張り出し、モミジのトンネルを抜けるような路だったのでしょう。

・中津万象園


・天赦園

・玄宮園

・衆楽園
衆楽園の北部は盛土の山が何重にも連なり、山の間を縫うように路が通っています。

・縮景園

・養翠園
養翠園は池の割合が大きい庭園で、園路はあっさりしています。
それでも、写真の西湖堤のような見所もあります。

・兼六園
兼六園の山崎山では、ことさらに曲げた路が見られます。

・浴恩園
浴恩園はかつて江戸に存在した大名庭園です。
庭園は現存しませんが、「竹の細道」「もみじの下道」など、見どころとされる道があったようです。

・旧益習館庭園
旧益習館は淡路島にある武家屋敷の庭です。
石切り場跡に造られたため、石と路の関係が独特。
路が岩の間をすり抜けたりするところに、石が先にあった感じが出ています。

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