園路集4:公共の庭
【はじめに】
公共庭園の園路は美観以外に、訪れる人々の快適さや安全性、庭園の保全などを考慮して計画されます。通常、施主やデザイナーの趣味を徹底することはできません。ただし、制約のある中でも、植栽などを工夫して趣ある風景を作ろうとはしています。
【公共の庭ゆえの条件】
公共の庭は、不特定多数が利用するものです。そのため、個人の庭と比べて歩きやすさと安全性の条件は厳しくなっています。
ちなみに公園の園路について、「都市公園の移動等円滑化整備ガイドライン 令和4年版」では次のようになっています。
・道幅:通常180センチメートル以上。地形などにより
・勾配:通常5%以下。地形などによりやむを得ない場合は8%以下。
・表面:滑りにくいこと、平坦で固く締まっていること。
・段差、階段:けいしゃろをへいせつする傾斜路を併設する
【園路集 公共の庭:ギャラリー】
・万博記念公園日本庭園
車道のようなアスファルト舗装の路がメインです。

・大仙公園日本庭園
主要園路は通行しやすさと保守性重視ですが、脇道には飛石、八橋などもあります。

・三景園
伊藤邦衛 設計 1993年
池の北にある路、花畑への路などはバリアフリー化されている一方、池の南には足腰の丈夫な人が楽しむ道もあります。

・南楽園
メインの園路は平らに舗装された広い路ですが、脇道には景観のバリエーションがあります。
伊藤邦衛 設計

・西川緑道公園・枝川緑道公園
緑道とは歩道を兼ねた細長い緑地のようなものです。総延長2.4kmのこの緑道は「噴水広場」「和風庭園」「彫刻庭園」などいくつかのブロックに分かれ、歩くにつれて景観が変わるものになっています。
伊藤邦衛設計。

・水景園
空間創研 1995年
休憩所などには通行しやすい路がついている一方、それ以外の場所では通行しにくい路も多くあります。空間には広い/狭いのメリハリがあり、園路も変化をつけています。


・北川村モネの庭マルモッタン

【公開空地】
OTEMACHI ONE GARDEN
椅子のグループを分けるように、園路がジグザグに通っています。通路と植栽の境界がぼかされていることにも注目。

・堂島の杜
大阪の堂島にある緑地かつ公開空地「堂島の杜」
園路のへりを曲線状に出入りさせ、植物が通路にはみ出したように作っています。

・大手町ファーストスクエアガーデン
一部にわざと飛石の部分を作ることで視線を下に向け、植物が目に入るようにしています。

【庁舎と公共施設】
・プラザ佐治「黎明の庭」
中根金作 1991年

・香川県立図書館前庭「清風去来の庭」
枡野俊明 作 1994

・瀬戸内海歴史民俗資料館
山上を少し削って建てられた博物館ですが、この路はここにあった山を思わせます。路面の舗装と右の建物の外壁は、山を削った際に出た石をとっておいたものです。

・牧野植物園 50周年記念庭園

【その他】
・四国村
最期に、庭園ではありませんが四国村の路を紹介。
四国村は主に歴史的建築物を移築展示している野外博物館です。
立体交差やつり橋など、一般的な庭園とは違うものがあって面白いものです。


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