庭園の座席と休憩スペース
更新日:6 日前
今回は庭園の座席と休憩スペースについて考えたいと思います。
【好まれる休憩スペースの基本】
ヤン・ゲール著『屋外空間の生活とデザイン』によれば、座るのに適した場所の一般的条件は
・快適な局所気候を備えていること
・背後を保護されたエッジに位置していること
・よい眺めがあること
などです。これらの条件を頭に置いて、庭園の休憩スペースを見ていきましょう。
・快適な局所気候を備えていること
囲いや屋根があり、寒風、直射日光があたらないことです。
・背後を保護されたエッジに位置していること
背後が保護されている方が安心感があるので好まれます。
・よい眺めがあること
前方については見通しがよく、他人の動きなどが見える場所が好まれます。
【休憩スペースの事例】
ここからは写真+簡単な解説で、休憩スペースの事例を紹介します。
・縮景園 超然居
眺めの良いあずまやです。
・岡山後楽園の流店
建物内を水が流れ、清涼感のある休憩所です。
・栗林公園北庭
栗林公園北庭の商工奨励館前にあるベンチ。
ヒマラヤスギが日陰を作り、商工奨励館が背後の壁となっています。
・OTEMACHI ONE GARDENの休憩スペース。
左手前のテーブルセットと右奥のテーブルセットは、木立や通路で隔てられています。
同じくグループの仲間とは親しくできる一方、別グループとは距離が取れることを目指した配置です。
・白龍園の茶屋
移築された古民家を茶店とし、店の前に床几(しょうぎ:ベンチ兼テーブルのようなもの)と和傘を配置しています。
設置場所にあわせて和風を打ち出した休憩所です。
・万博記念公園日本庭園の中央休憩所
椅子や日陰があり、目の前は庭園の中心的な池です。
・「未来心の丘」の休憩スペース。庭園と色をあわせています。
日除けが足りていない気もします。
・ファーストスクエアガーデン
・堂島の杜の石製ベンチ
座れる縁石、という感じ。少し引っ込んだところにある小スペースです。
・原宿の「おもはらの森」
囲まれていることによる安心感をもたらす、すり鉢状の地形。
その地形と一体化した形で、坐れる段差があります。座れるところがたくさんあり、来た人は思い思いに座っているようです。
・キャッスルガーデン
座れる段差があり、人々が思い思いに座っています。
・中自然の森の休憩スペース
商業施設に付属する庭園では休憩所を簡素にし、座席もスツールにする傾向があります。「ここで長居されても困る。はよ店に入れ」ということでしょうか。
・グランルーフガーデン
東京駅八重洲口2階にあるペデストリアンデッキです。
ベンチだけを置くのではなく、まわりをプランターで囲ってヒューマンスケールのスペースを作っています。
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