天授庵庭園_再訪
更新日:1月9日
天授庵庭園は路も面白い
以前にも書いたが、天授庵庭園はそれ程大きくない庭ながら路が面白い。園路の写真を撮ろうと再び訪問したので、天授庵の道順に沿って説明したい。
【天授庵庭園の路】
見学者は敷地の北から入り、方丈の北脇にある切石の通路を通って東に進む。路の脇は苔地になっている。
20m足らず進むと方丈東庭 (枯山水) に出る。ここの通路の幾何学的なデザインが特徴で、天授庵庭園の紹介によく使われる。その通路というのが、枯山水の白砂の中にかぎ型に曲がった細い苔地があって、その中に切り石の飛び石を打っている。飛石は正方形で、交互に角度を変えている。方丈北で見た通路と共通するデザインだが、こちらの方が苔の状態が良い。状態が良いのは観光客を歩かせないからで、一般の見学者は方丈の軒下を通る。また、林の中に入っていく飛石の通路もあるが、この路も観光客は通れない。
次いで見学者は方丈の東から南へ廻る。当然路は右曲がりになる。ここに門があり、門の向こうで路が曲がっている。このデザインが、先に何かあると感じさせつつはっきり見せない感じで面白い。ここの飛び石は不整形の石を中心に、細長い切り石を一部混ぜてある。
路なりに進むと書院回りの池庭がある。まず板の折れ曲がり橋がある。板橋は低く、水を近くに感じる。橋を渡ると石段を数段上る。それから池の周りを時計回りに回るが、間もなく沢飛石がある。これも低い位置にあって、渡る前に何段か石段を下り、渡ってから何段か上る。この辺りの飛び石は、角の取れた八角形のような形が多く、大きさもほぼ揃っている。
その後は池を一周し、方丈東、方丈北を通って門のところまで戻る。約250mの路ではあるが、飛石があり、板橋があり、沢飛石があり、微妙に上り下りもあり、水を近くに感じるところもあってこのサイズの庭としては案外面白かった。
最後に路とは関係ないが、木と水の様子も気持ちよかったのでこれも撮影。そして園路の写真は失敗した。
【基本情報】
・施設の性格:仏教寺院(塔頭寺院)
・作庭年代:室町時代(書院南庭)、江戸時代(方丈前庭)
ただし書院南庭にも後世の改修が入っている。
・アクセス:地下鉄東西線「蹴上駅」下車徒歩約10分
・公開状況:公開(有料)
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