常楽寺「流水岩の庭園」は岩盤の庭
更新日:2023年11月28日
【「流水岩の庭園」について】
常楽寺の庭園を「流水岩の庭園」といいます。人が造ったものではなく、露出した岩盤を流水に見立て、景色とみなしているものです。
「流水岩の庭園」と呼ばれるのは本堂前の岩盤むき出しの場所。岩盤は緑色片岩、いわゆる青石でできていて、緑がかった縞模様の石です。この縞模様と波打つような形を流水に見立てているのでしょう。
青石の岩盤は本堂前だけではありません。本堂自体も岩盤を削った上に建てたものですし、本来の入り口である石段も途中から岩盤を削ったものです。つまり「流水岩の庭園」は石段から始まっているとも言えます。駐車場が寺の裏にあるので車で行くと裏から入るのですが、表に回ってちょっと石段も見てほしいと思います(なお、この入り口には山門が無く、石段の登り口に建てられた石柱が山門代わりになっているのが珍しいそうです)。
【常楽寺について】
徳島県徳島市にある盛寿山 延命院 常楽寺(せいじゅざん えんめいいん じょうらくじ) は四国八十八カ所霊場第十四番札所の真言宗寺院。第十五番札所国分寺に近く、一緒に回るのにも好都合です。本堂と大師堂は国の登録有形文化財に指定されています。また境内は「阿波遍路道」の一部として国の史跡に指定されています。
なお常楽寺が現在のような岩盤むき出しの寺になったのは1818年以後のことで、それ以前は石段下の低地にあったものをため池をつくるために移転したのだそうです。
【感想】
岩盤を生かした庭園と言えば四国内でも桂国寺などがありますが、これらとは違って常楽寺の「庭園」は石組を足したりもしていない自然そのまま。さらに、岩を見るのではなく岩の上を歩くのもこの「庭園」の特徴です。歩きにくいですが大地のエネルギーを足元から感じられるでしょう。この岩盤は現在もお遍路さんなどの人々が歩くため摩耗し続けています。いずれは摩耗によって波打つような形がなくなり、「流水岩」の庭園ではなくなるかもしれません。
【雑談】
・この庭園は四国電力グループ広報誌 「ライトアンドライフ」で知りました。「ライトアンドライフ」に「四国遍路の名園を訪ねる」という記事があり、竹林寺(高知県)や志度寺(香川県)とともに常楽寺も紹介されていたのです。それまで知らなかった情報が広報誌や地方紙に載っていることはたまにあります。
・本堂の横に回ると板状の青石があります。青石は板状に割りやすいので、徳島県では古くから石碑や垣(猪避け)に青石を使ってきました。本堂横に立てかけて?あった石が何のためのものかはわかりませんが、徳島らしいと感じたところです。
【基本情報】
・施設の性格:仏教寺院
・庭の性格:本堂までの前庭
・公開状況:公開(志納)(お参りをしていきましょう)
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