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石組好きなら行くべき旧徳島城表御殿庭園

更新日:2023年10月21日

【前説】

二条城へ行ったことがあるなら、庭園 (二之丸庭園) の池の周りに、青味がかった大石がたくさんあったのをあったのを覚えているかもしれません。あの種類の石は青石といい、桃山時代から江戸時代にかけて非常に人気だった名石です。京都では二条城のほか醍醐寺三方院の庭園 (これは秀吉が関わった庭です) などが青石の庭として有名です。

今回はその青石を大量に使い力強く豪華な石組を作った旧徳島城表御殿庭園(きゅうとくしまじょうおもてごてんていえん)について、石橋と護岸石組中心にご紹介します。


【構成と見どころ等】

徳島城の城内に造られた旧徳島城表御殿庭園は約5000平方メートル (70m×70mくらい)の範囲に枯山水と池庭の両方があり、合わせて7本もの石橋があります。

まず枯山水を見てみると、すぐ目につくのは10mの大石橋(途中で折れているので石材としては7mと3m)です。。大きさも印象深いのですが表面の感じも面白く、特に上面には鱗のような凹凸があり、光の加減によってはぬめっとした感じに見えます。この石橋は書院からよく見えるように配置されているのでこの石を主役にするという意図があったのでしょう。庭にある石の中で特に青色が濃いので、その点でも目立ちます。

旧徳島城表御殿庭園の大石橋
書院側から見た旧徳島城表御殿庭園の大石橋

大石橋の南には鶴島の石組があります。

大ぶりの青石をたくさん使ってくみ上げたこの石組は力強い造形が高く評価されています

鶴島の石組
鶴島の石組


大石橋の北には二連の石橋があります。ここには青石ではなく花崗岩の切石を使っています。この橋は一見平面的ですがよく見ると上面がほんの少しだけ反っているのがポイントです。

花崗岩製の切石橋
二連の石橋

切石橋の北にはもう1つ石橋があります。

北から見た切石橋 (奥) ともう1つの橋 (手前)
逆方向から見た二連の石橋


池庭の方を見ると周り全部が石組で固められていて、こちらも石が激しく主張しています。​この池は海とつながっていて潮の干満によって水面が上下するので、護岸石組も二段三段に組んで高さを出しているのです。沢飛石がありますが、満潮の時この飛石は水没します。

沢飛石
沢飛石

池庭の北部には奇岩怪石の石組があります。

このあたりは石組というより岩場のようです。岩場を歩いて遊ぶように、体を動かして無心に楽しむのがおすすめです。

奇岩怪石の石橋
奇岩怪石の石橋

ワイルドな岩場
ワイルドな岩場

こういったところが旧徳島城表御殿庭園の見どころになります。

【評価と評判】

・この庭園は桃山時代の代表的な庭園の一つとされています。具体的には青石(緑泥片岩)の多用、巨石の使用、池全周に作られた護岸石組などが桃山時代らしいとされます。

「桃山時代ノ特徴ヲ有シ又緑泥岩ヨリナル青石ヲ多數使用セルガ如キ地方的特色ヲモ有スル優秀ナル城郭ノ庭園ナリ」(国指定文化財等データベースより)

・力強い石組を重視する重森三玲やその影響を受けた研究者はこの庭園を特に高く評価しています。重森三玲の孫の重森千青は著書『日本の十大庭園』で、徳島城表御殿庭園を桃山様式の代表として詳述しています。


【まとめ】

旧徳島城表御殿庭園には枯山水部分と池庭部分があり、どちらも大量の青石を使っているのが特徴です。池の周りに青石を隙間なく立てたこの庭は桃山時代を代表する庭とされ、石組の造形を重視する研究者からは高い評価を受けています。


青石好きの人や力強い豪華な石組が好きな人はぜひいきましょう。

また、庭について一通り勉強する上で桃山様式も知っておきたい、という人も行くとよいでしょう。


【基本情報】

​・施設の性格:城郭内、主御殿(謁見などを行う場所)

・庭の性格:主に表御殿から見る庭。庭を歩くこともできる。

・所在地:日本、〒770-0851 徳島県徳島市徳島町城内1 (徳島中央公園内 徳島城博物館に隣接)

・アクセス:

JR徳島駅から徒歩約10分

・公開状況:公開(有料)

(おそらく2018年訪問。情報は訪問時のものです)

【外部リンク】





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