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庭のあるカフェ: 苔筵

更新日:2023年10月7日

<棚田から苔庭へ。日本社会の変化を象徴>

ギャラリー喫茶 苔筵(こけむしろ)はしっとりした苔庭のある癒しのカフェ。2021年1月下旬に訪問した。残念ながらコロナ禍のためカフェは臨時休業していたが、庭は見学できた(その後営業再開した模様)。本来は庭を見ながらカフェで食事することができ、テラスやウッドデッキで食事することもできる。

​庭があるのは愛媛県南部の山中。オーナーの父上がかつて棚田を作っていた場所に現オーナーが杉を植え、苔を育てて5年がかりで庭にしている。地面を覆う苔はもちろんいいんだけど、個人的に石垣もよい。そして、木がほかの木ではなく杉であるということが、静寂な印象を強めていると思う。

この場所はかつて棚田だったが、現在農業には使われていない。ここは棚田の跡地であり、石垣はいわば棚田の廃墟である。現在この場所に苔があるのは、移植したからでもあるが、田畑としては放棄されたからでもある。そう考えると、石垣と苔で、時間の経過を象徴しているようでもある。石垣はここが棚田だった過去を表し、苔は耕作されなくなったことを表す。

農業人口が減少し、棚田が耕作されなくなったのは日本各地で起こった変化なので、この庭は日本の変化を象徴しているともいえる。

【立地】

愛媛県南予地方、山中の傾斜地。山林と耕作地の境あたりで、周辺には民家あり、店はない。

【その他】

喫茶を利用せず、庭に入ることもでき、その場合入園料100円が必要。入園料は苔の維持に使われる。

四国八十八景について】

四国地方整備局が企画し、四国四県やNHK松山支局、経済団体などが参加して選定された、四国らしく美しい景観。その内容は寒霞渓などの定番の景勝地からこのプロジェクトで発掘された新しいカフェまで様々。庭園関係だと本楽寺の枯山水、モネの庭、不老庵 (臥龍山荘の建物)、栗林公園、そして苔筵が選ばれ、苔筵は「静寂に包まれた美しい苔庭」と紹介されている。



【基本情報】

・作庭時期:現代

・所在地:

愛媛県西予市宇和町信里2099

(えひめけん せいよし うわちょう のぶさと2099)

・アクセス:

大洲北只ICから車で約12分 駐車場数台分あり。駐車場前まで1車線の舗装道路がある。

公共交通機関なし

・公開状況:カフェ利用者向け。ただし、有料で見学も可

【外部サイト】

苔筵|せいよじかん(西予市観光物産協会)


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